センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
69話 頂点の風景。
69話 頂点の風景。
「上に立つのは俺だ。俺がお前を支配する」
「真に実力があるのであれば、その過剰な生意気さも愉快と思える。脆弱な愚かさに吐き気を覚える退屈はもう飽きた――さあ、くるがよい。貴様に、真なる高みを見せてやる」
受けの構えを見せるゾメガ。
圧倒的上位者の姿勢。
誰よりも高い場所にいると信じて疑わない、
その傲慢さも、裏打ちがあれば、質量を伴う。
高すぎるプライドは、そのまま高純度の覇気となり、
センエースの心に食い込んだ。
(本物だ……こいつは強い……まだまだツボミだが、花開いた時の可能性は、まちがいなく、世界最強)
はじめてブロールを見た時、その才能の眩しさに驚かされたものだが、
ゾメガ・オルゴレアムの輝きは、ブロールを置き去りにしていた。
これは、ブロールが微妙と言う話ではない。
ゾメガが、あまりにも凄すぎるだけの話。
――センは、あえて、己に『重たい枷』をくわえた。
出力を制限する修行用のアイテムを装備し、
存在値700前後になるよう整えてから、
「神速一閃」
すさまじい速度の『飛翔する斬撃』を連射する。
その驚異的な連撃を、
ゾメガは、
「ソードスナイプ・ドリームオーラ」
バリア系のF魔法で、正確にしのぐと、
そのまま切り返しで、
「異次元砲!!」
極悪な火力の異次元砲を放ってきた。
(すごいな……異次元砲のスペックだけでいえば、こいつは全力の俺に匹敵している)
ゾメガは『魔法の天才』である。
とにかく、魔法に関する適正が、のきなみ高い。
その中でも、特に、
「フルパレードゼタキャノン!!」
この魔法に対する適正がハンパじゃなかった。
クソでかいキャノン砲を召喚して、頭おかしい火力をぶっ放す、
コスパ度外視の燃費最悪極大魔法フルパレードゼタキャノン。
とにかく強力な魔法なのだが、消費MPがバカすぎるのと、
使ったらオーバーヒートを起こしてしまうという重大な欠点があるので、
センでも、そう簡単には使えない魔法。
――なのだが、ゾメガは、当たり前のように、
「ち、はずしたか! ならば、もう一度!! フルパレードゼタキャノン!!」
ゾメガは、フルゼタの連射に特化したビルドが組まれている。
『常人なら一日一発が限度の極大魔法』を連発して、敵を無慈悲に殲滅するスタイル。
(桁違いの魔力……まさしく、神に選ばれた大魔王って感じだな……)
ゾメガという次元違うの化け物を見て、歓喜が止まらないセン。
(正直な話……飢えていたよ、お前のような強者に)
ノコを救うため、そのためだけに力を追い求めてきたが、
センエースのもともとの『性格』は、
『誰よりも強くなることを望む』という変態型の戦闘狂。
その性格と、ノコに対する愛が相乗効果で重なりあったことで、
センは、とほうもない領域に到ることが出来たわけだが、
周囲の強者を置き去りにして、誰よりも高い場所に立ったセンは、
純粋な喪失感に襲われていた。
誰もいない山のてっぺんで一人、
荘厳なだけの風景を見つめ続けるだけ。
最初の数秒こそ、その風景に感動したものの、
その風景を見続けるしかない空虚な時間には、
とっくの昔に、心底から、飽き飽きしていた。
「ゾメガ! 感動したぞ! お前は、間違いなく究極の化け物だ!!」
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