センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

62話 狂人。


 62話 狂人。

「お前らは人間爆弾だ。東大陸の大帝国への宣戦布告として投入する。――しごく簡単に言えば、この城に異次元砲をぶち込んだのと同じことを、大帝国相手には、異次元砲ではなく、お前らを突入させることで行うってことだ。単純な話だろ?」

「な、なにをふざけたことを……そんなことをしたら、われわれは、すぐさま殺されてしまう」

「かもな。けど、がんばれば、生きて帰れる可能性もあるさ。数日間は猶予をやるから、その間に修行とかしたらいいんじゃね? 本気でやれば、生き残れる可能性を底上げできるだろう。まあ、ほぼ100%死ぬと思うけど、ま、ドンマイ、ドンマイ」

 ファントムトークでヌルリと世界に禍根(かこん)を残すセン。
 そんなセンに、バーサミー王は、

「われわれを大帝国に突撃させるなど……そんな、あまりにも『愚かなこと』を本気で実行するとは、さすがに思っていないが……」

 どうやら、まだ軽いジョークだと思っているようで、

「しかし、一応言っておくが、もし、その『とてつもない愚かさ』を実行に移した場合、最大の被害を受けるのは貴様の方だぞ。大帝国は『牙をむけたもの』を許しはしない。首謀者である貴様を必ず八つ裂きにするだろう」

「心配してくれてありがとう。けど、大丈夫。俺がその気になれば、大帝国が、今保有している軍事力の20倍ぐらいの規模で、束になってかかってきても、余裕で殲滅できるから」

 わずかな冗談の可能性も感じさせない、
 心の底から確信している顔で、
 ニっと歪んだ笑顔を見せるセンを見て、
 王族連中は、三人そろって、肝を冷やした。
 心底から、ゾっとして、背中を冷たい汗が走る。

「……きょ、狂人……」

「お、やっと伝わったか? そのとおり、俺はまともじゃない。10000年間の地獄をさまよい続けた結果、俺は完全に壊れてしまった。ノコを愛している。その想いだけが、今の俺を支えている。だからこそ、ノコの敵になり得る存在は徹底的に破壊する。その上で、ノコを永遠に守れる軍事力を磨き上げる」

 すべてはノコのため。
 その『目標』があるから、
 センは、いっさいふりかえらず、まっすぐに走り続けることができる。

 そこで、ラミルが、

「お父様、お兄様、この男は完全に狂っています。交渉など無意味。私には分かります。この男、目が完全にイっています……っ」

 ラミルの言葉を受けて、パラミが、

「私も同じ感想を抱いたよ、ラミル。こいつは、ダメだ……完全に壊れてしまっている」

「全員が正しい理解に届いてよかった。それで? その現実に届いたお前たちは、これからどうする? 逆らうなら、ライトニングを突撃させるぞ? お前ら王族がいかに強大な力を持っていると言っても、さすがに、超王級のドラゴンには敵わないだろ?」

 覇鬼のような『鬼種』も、モンスターの中では相当に上位種で、バチクソに強いのだが、しかし、さすがに『龍種』と比べれば数段劣る。
 ライトニングならば、ネオ・ヘルズ覇鬼を10体相手にしても、普通に勝てる。

 ――と、そこで、パラミが、覚悟を決めたような顔で、


「父上……『願い玉』を使います。よろしいですね?」


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