センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
58話 濃厚な絶望。
58話 濃厚な絶望。
「我々なら、もう一体、ネオ・ヘルズ覇鬼を相手にしても討伐は可能。さすがに超王級を三体も召喚することはできないだろう! 父上、ラミル、もうひとふんばりです! ここをこえれば、さすがに、やつも魔力がつきるはず!」
パラミは『膨大な魔力』を誇る超性能の召喚士だが、
王級以上のモンスターを召喚できるのは一日に3体が精々。
現在、ネオ・ヘルズ覇鬼に対抗するため、
「アストラルマジシャン、召喚」
最後の『切り札』を召喚して臨戦態勢をとった。
アストラルマジシャンは、王級の星霊種モンスター。
強力な攻撃魔法・回復魔法を数多く扱えて、剣による接近戦闘も得意という、オールラウンダーな便利召喚獣。
「超王級を二体も召喚できるという、『ヤツの魔力』には目を見張るものがありますが、同じ召喚士である私にはわかります。もう、ここが限界です。これ以上はありえません」
そう断言したパラミ。
王もラミルも、パラミのことを信頼しているので、
彼の言葉を疑わない。
そんな王族たちの前に出現したのは、
「俺が召喚できる超王級の限界数が2体だと、いつから錯覚していた?」
――全部で8体のネオ・ヘルズ覇鬼。
数が多いからと言って、一体一体の性能が下がっていたりはしない。
8体全員、面構えが違った。
「あ……ぁ……ウソ……だ……こんなこと……」
パラミは、ワナワナとふるえながら、つい、一歩、あとじさりしてしまう。
心が完全に折れてしまっていた。
そんなパラミの心情を察した妹のラミルが、
「幻影ですわ! 本物なわけがありません! 卑怯な手を使っているだけで、本当は一体しか召喚していないはずです! 『お兄様でも召喚できない超王級』を『8体』も同時に召喚するなんて、そんなことは、絶対にありえません!」
ラミルにも、多少は召喚適正があった。
『王級モンスター』は無理だが、『上級モンスター』を召喚することは可能。
ラミルは、『王級を召喚できる兄』が、いかに超越的な存在であるかを、正しく理解している。
だから、『目の前の状況がありえない』ということが、よく理解できた。
『ラミルの言葉』で正気を取り戻したパラミは、
グっと、奥歯をかみしめて、
「そ、そうだな……ラミル、ありがとう」
そこで、バーサミー王が、
「卑怯な手ばかり使いおって……貴様にはホコリがないのか!」
などと、楽しいことを言ってくれるので、
センは鼻で笑ってから、
「少なくとも、てめぇらよりは気高く生きているよ。……まあ、『カスすぎるお前らより上』であることなんざ、なんの自慢にもならんけど」
センの言葉を、特大の煽りと受け止めた王族たちは、
全身全霊で、ネオ・ヘルズ覇鬼と向き合った。
どうせ幻影だろうという淡い期待は、
ものの数秒でくずれさることになる。
「ぐぁあああああっ!」
『切り込み隊長を任せられたネオ・ヘルズ覇鬼2号』が、
一切の情け容赦なくパラミの腕を切り飛ばした。
今回はダメージをあたえただけではなく、
キッチリと、右腕を切断してみせたのだ。
「お兄様!」
と、パラミの様子を心配しているラミルの足を、
「きゃああ!」
死角にしのんでいたネオ・ヘルズ覇鬼5号が、華麗にきりとばした。
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