センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

52話 才能だけは超一流のクズ。


 52話 才能だけは超一流のクズ。

(パラミに負けたらセンエースに殺される……でも、私じゃあ、パラミには勝てない……どっちみち死ぬ……い、いや……死にたくない……死にたくない……っ)


 極限状態に立ったことで、
 また、さらに、トワネの眠っていた才能が芽吹く。


「武装闘気ぃいい!!」


 オーラを鎧にして纏う魔法を使うトワネ。
 ブルムンドの血族の切り札。
 父も兄も、本気で闘う時は、この魔法を使う。

 トワネも、一応、使えたのだが、おそろしく難易度が高い技なので、
 これまでは、あまり、うまく扱えなかった。

 しかし、命の土壇場に立たされたことで、
 火事場の馬鹿力が、武装闘気を屈服させる。


「な、なんという強さ……っ……君の才覚は、エイル・ブルムンドに匹敵している……っ」


 エイル・ブルムンドは、トワネの兄。
 優れた実力を持つ戦士で、王族を除けばナンバーワンの実力者とまで言われている。
 そんなエイルと比べても、トワネは決して劣っていない。

「あああああああああ!!」

 トワネは、死にたくない一心で、
 必死になって、パラミ王子と戦った。

 パラミ王子の存在値は450で、
 トワネの存在値は320。

 存在値の差を考えれば、大健闘と言ってもいいぐらい、
 本当に、トワネは頑張った。

 だが、


「ぐっはぁあっ!!」


 パラミ王子の渾身の前蹴りをくらい、吹っ飛ばされて、壁に激突する。
 内臓に多大な損傷を負って、口から盛大に血を吐いた。

 武装闘気の魔法も解除され、
 死にかけのボロ雑巾になったトワネに、
 ココが近づいて、

「いいザマ」

 ゴミを見る目で、そう言ったココ。
 その目は、芯から冷えている。
 『大好きだった両親を殺された恨み』は一ミリも消えてはいない。

 そんなココの冷たい目をみたトワネは、

「……は、はは……」

 まるで、挑発するように、鼻で笑う。
 その目は、笑っているけど、死んでいた。
 なにかを諦めたような、そんな、あやうい色だけがにじんでいる。

「ねぇ、ココ……あんたから両親を奪ったことを、私が後悔したり、反省したりしていると思う?」

「……」

 黙ったままのココに、
 トワネは、舌を出して、

「しているわけないじゃない。アブライから、『ミスって、あんたの両親を殺してしまった』と聞いた時、心の底から『最高!』って叫んだわ。実は最初から『目の前で家族を殺した上でさらってこい』って依頼をしたかったのだけれど、そこまでの内容になると、さすがにお金がかかりすぎて、私のポケットマネーでは払いきれなかったのよ」

 もう、死ぬのを覚悟しているような顔で、
 トワネは、

「苦しむあんたの顔を見るのは最高の娯楽だった。私の暇つぶしに協力してくれて、ありがとう。ココ」

 小ばかにしたような顔で、そう言ったトワネ。

 ココは、へし折れるほどに奥歯をかみしめて、
 トワネを殺そうと、両手に魔力を込めた。

 だが、ココがトワネを殺すよりもはやく、

「ぐぶふっ!!」

 センエースの腕が、
 トワネの心臓を貫いていた。

「ご苦労、トワネ。お前が『命の最前線に立つことで開いた才能』は、すべてココが引き継ぐ。お前自身は、もういらない」


「センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く