センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

37話 ブロールの出番。


 37話 ブロールの出番。


「……なんだ、てめぇ」


 突如、屋敷の中に侵入してきた黒髪のナイトに、
 アブライは、怒気をにじませながらそう声をかけた。

「俺は、ここの新しいボスだ。てめぇら全員、今後は俺の命令に従え。あ、返事はしなくていい。まずは、ボコボコにする。それから、ゆっくりと返事を聞かせてもらう。で、俺に従わないというのであれば、その場で殺す」

「どこのバカか知らんが、はしゃぎやがって……」

 そこで、アブライは、

「ベソ、かわいがってやれ」

 そう言いながら、パチンと指を鳴らした。

 すると、アブライの周りを囲っている構成員の一人が、
 剣を抜きながら、センのもとに近づいてくる。

「俺はベソ。ボスを守る用心棒の一人。てめぇは?」

「リブレイの聖女ノコ・ドローグのナイト。センエース」

 そう名乗ると、
 後ろにいるアブライが、

「ほう……お前が、ノコ・ドローグのナイトか。……リブレイの方から通達はきている。ノコ・ドローグ一人を殺すだけで、5000万テスの報酬をもらえるという、とんでもなく美味しい話。リブレイに恩を売るためにも、本腰いれて探そうとしていたところ。そっちからわざわざ、殺されにきてくれるとは、なんてありがたい話だ。ベソ。殺すなよ。ノコ・ドローグの居場所を吐かせないといけないからな」

「了解、ボス。じゃあ、とりあえず、両足を切って、動けなくさせてもらおうか」

 そう言いながら、勢いよく斬りかかってきた。

 ベソは、アブライが誇る用心棒の一人だけあって、
 なかなか動きは悪くない。
 存在値は290。
 貴族クラスの力を持つ剣士。

 ベソに勝てる者はそうそういない。
 まぎれもなく、一級の超人。

 けれど、今回ばかりは、さすがに、相手が悪すぎた。

「うぼぉぇっ……」

 みぞおちに、綺麗なワンパンをもらったベソは、
 そのままバタリと倒れこんで動かなくなった。

 その様子を見たアブライは、

「……なっ……ばかな……たかがナイトに……ベソが負けるわけ……」

 一般的なナイトの存在値は200ぐらい。
 対して、ベソの存在値290。

 どうあがいても、ベソがナイトに負けることはありえない。
 それが、アブライの中の常識。

 動揺しているアブライに、
 センは、倒れているベソを指さして、

「こいつと同レベルのヤツは、何人出しても無意味だぞ。別に、出したけりゃ好きにしていいが、しかし、秒で叩き潰すと宣言させてもらう」

「ぐっ……な、ナメくさりやがって……アブライ・ファミリーを相手に上等こいたらどうなるか、その身に叩き込んでやる。――ブロール! 出番だぁああああ!」

 命令を受けると、
 奥の部屋から、
 『猿顔のごつい大男』が現れた。

 猿系の顔をしているが、決して下品ではなく、
 むしろ、ここにいる誰よりも紳士的なオーラを放っている。

 登場したブロールに対し、センは、

「よぉ、ブロール。ひさしぶりだな。9000年ぶりぐらいかな」

「? ……貴様、何を言っている?」

「気にするな、こっちの話だ」

 そう言いながら、センは、軽くストレッチをはじめた。
 ググっと、体を動かして、簡単に準備を終えると、

 静かに、おだやかに、丁寧に、
 まっすぐな武を構えて、

「いくぞ、ブロール。お前が求める『命の高み』を見せてやる」


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品