センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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14話 優れたスペシャル。


 14話 優れたスペシャル。

「迅雷撃(じんらいげき)ランク16!!」

 センの不気味さに、少しだけ気圧(けお)されてはいるものの、
 しかし、『高すぎるプライド』というお荷物は捨てきれない。

 雷の速攻魔法で、
 センの体を貫こうとしたガルム。

 けれど、『先ほどの炎の魔法』と同じで、
 センは、いっさい、ダメージを負っていない。

(ま、また無傷だと? まさか、属性特化ではなく、『魔法そのもの』に対する強い耐性? そ、そんなバカな! そんなプラチナ級の『スペシャル』を、ただのナイトが持っているわけ……)

 優れた特性のことを『スペシャル』と呼ぶ。
 スペシャルには、
 ・レッドスペシャル(ない方がいいマイナスの特性)、
 ・ブルースペシャル、
 ・ブルーツースペシャル、
 ・ブルースリースペシャル、
 ・ゴールドスペシャル、
 と、階級があり、
 その中の最高位が『プラチナスペシャル』。

 『プラチナスペシャルを持っている』というだけで、辺境伯の地位を得た者もいるぐらい、高位のスペシャルには価値がある。

 『すべての魔法に対する強い耐性』などというプラチナスペシャルを持っている者が、ナイトという『下位の地位』におさまっているわけがない。

 ナイトは、名誉称号などと言われているが、
 しょせんは、『貴族のパシリ』でしかないのだ。

(魔法に対する耐性は厄介だが……さすがに、それ以上のスペシャルは持っていないだろう……『肉体を強化する魔法』か『召喚系の魔法』で、物理的にボコボコにしてやる)

 魔導師団は、リブレイが誇る戦争の要。
 『死線をくぐってきた回数』は数えきれない。

 だから、『魔法の耐性を持つナイト』に『驚くこと』はあっても、
 恐れをなしたり、手段をなくしたりはしない。

 そこで、センは、

「俺を殺そうとする意志に関しては別にいいんだが……お前、その殺気を、なぜ、ノコに対しても向けられるんだ?」

 本気で不思議そうな顔で、

「……ガルム、お前だって、ノコに病を治してもらっただろう。それなのに、なぜ、ノコと敵対できる?」

「……はっ! あの程度の病気、このガルム様ならば、寝ているだけでも治ったわ!」

 喉もとを過ぎれば熱さを忘れる。
 治ってしまうと、人は『病気だった時の気持ち』を忘れてしまう。

「ノコ・ドローグなどいなくとも! あの程度の病気など、いつかは、勝手に収束しただろう! 『病を治せる』という特別性は認めるが、そんな自分の特別な力を見せびらかして喜んでいたら、いつのまにか魔力が尽きて老いてしまった……それだけのバカ女のくせに、その重荷を、殿下に押し付けて逃げるなど、言語道断――」

 センが我慢できたのは、そこまでだった。
 ガルムは『ノコを守るための部隊の一人』になりえる力を持っていた。
 だから、少しだけガマンしてやった。

 ――しかし、限度がある。
 ――センは聖人でも仙人でもない。
 ――怒りが限界を超えれば、当然、鬼となる。



「ん? ……あ? なんだ……うぇっ……ごほっ……」



 突然、悪寒(おかん)に襲われたガルム。
 全身の力が抜けていく。

「うっ……ぐぅ……」

 我慢できず、その場に倒れこんでしまうガルム。

「げほっ、ごほっ……なんだ……これは……」


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