センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
10話 ありえない努力。
10話 ありえない努力。
――動揺が止まらないエキドナに、
センは、
「口だけは動かせるようにしてやるから答えろ。お前は、『上』から、どのように事情を聞いて、ノコを殺しにきた?」
「……」
暗部に属する者は、拷問されても、情報を漏らすことはない。
そんなことは知っている。
だから、センは、
「おそらくだが……あのバカ王子は『ノコから【老化】を押し付けられた』と言ったんじゃないか?」
「……」
「言っておくが、実際に、あのバカを老化させたのは俺だ。けど、ナイトごときの魔法で痛い目にあった、なんて、そんなみっともないことは言えないだろうし、ノコを殺す言い訳にもできるから、おそらく、ノコのせいにしただろうと推測したんだが……どうだ?」
「……」
エキドナは、しばらく黙っていたが、
しかし、
「……ただのナイトが……なぜ、そこまで高位の魔法を使える?」
と、質問を投げかけてきた。
この世界では『存在値』が高ければ高いほど『身分』が高くなる。
『ナイト』の地位は爵位の中で最も下。
『平民の中で強い者』が、一代限りで受け取る名誉的称号。
存在値で言えば200前後が一般的。
その程度の存在値では、
どんなに頑張っても、バルディに呪いをかけることなど不可能。
弱者が強者に、状態異常系の魔法をかけるのは困難。
ナイトごときの力では、『デバフ系魔法のレジストに優れているエキドナ』を封じることも絶対に無理。
「……愚直に積み重ねてきただけだ。誰だって、『このぐらい』やれば、存在値1000ぐらいにはなれるさ」
そう言いながら、センは、エキドナの頭に手をあてて、
「記憶投射ランク20」
『記憶の一部を共有する魔法』を使う。
彼女の頭の中に、『センが積み重ねてきた時間の一部』を見せつける。
その結果、
「うぼぉえっ……っ!!」
我慢できず、エキドナは吐いた。
『センが積み重ねてきた地獄』は、
一部であっても、常人に耐えられるものではない。
「なっ……なんで……」
エキドナは、まだまだ押し寄せる吐き気を我慢しながら、
「なんで、こんなことが出来たの……っ! ありえない! あなた、おかしい! 10000年も……毎日、毎日……それだけの苦悩と絶望を背負って……どうして……っ」
「あるだろ? それだけの価値が。ノコ・ドローグには」
「……」
「お前だって知っているだろう。ノコが何をしてきたか」
知らない者などいない。
ノコが、どれだけ、『苦しんでいる人々』のために尽くしてきたか。
「あいつを守るためなら何でもする。その覚悟を積んできた。だから俺は、この世に存在する誰よりも強くなれた」
「……あなたの覚悟は……十分、理解した。……私では、どうあがいても、あなたには勝てない。けど、だからといって、任務を放棄するわけにはいかない」
「知っているさ。お前の忠誠心がズバ抜けていること。だから、わざわざ、俺の記憶を見せてやったんだ」
「……」
「エキドナ。お前とは何度もやりあってきたから知っている。本来のお前は高潔で気高い心の持ち主だ。……あのバカ王子に、お前ほどの女が、忠誠を奉げる価値はない」
「王子は……孤児だった私を救ってくれた。王子はあなたより弱いかもしれないが、忠義を奉げるだけの価値はある」
「お前は救われてなんかいないよ。ただ、コントロールしやすいよう、洗脳を受けただけだ」
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