センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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2話 10000年の記憶。


 2話 10000年の記憶。


「ぁ……ぁあ……ぁあああああ……っ」

 彼女を、強く抱きしめるセン。

 そんなセンに、

「お前、よく、そんな醜い老婆にさわれるな……気持ちが悪い。さっさと、その死体を運び出せ」

 その時、
 センの頭の中で、
 何かが、ぶっ壊れた。

「……っ……」

 ギリリっと、へし折れるほど強く奥歯をかみしめて、
 殺気のこもった目でバルディをにらみつける。

「……なんだ、その目は。まさか、私に文句でもあるのか? 言っておくが、王子である私に剣を向けたら、ただではすまないぞ」

 どうでもいい、とセンは思った。
 このクズを殺してノコを取り戻せるなら、100回でも殺してやりたいと思った。

 しかし、このクズを殺してもノコは帰ってこない。
 だから、センは、

「神様……どうか……ノコ様を……助けて……」

 両手をあわせて、天に祈りをささげる。

「俺の命を奉げます……だから、どうか……」

「はっ。だから、国宝の妖剣で切りつけたと言っただろう。貴様の命一つ程度ではどうにもならん。国の宝をナメるなよ」

 ――と、その時だった。
 センの頭の中に、





「……っ!!」





 未来の記憶が流れ込んでくる。
 ちょうど100年後、『117歳の時に死んだ直後』の記憶。

 センの頭に流れ込んできたのは、その100年分だけではない。
 その100倍。

 センは『この日から、117歳で死ぬまでの100年間』を、
 ――100回くりかえしていた。

 すべては、ノコを救うため。
 彼女を完璧に救うため、
 センは、10000年間、ひたすら力を求め続けた。
 たゆまぬ努力を続けた結果、
 センは、ついに、彼女を『完璧に救える力』を得た。



「……ノコ……」



 センは、彼女の頬に手を当てて、

「君ほど美しい命を……俺は、他に知らない。永(なが)き時間を過ごしてきたが……心の美しさでは、間違いなく、君がナンバーワンだ」

 そう言いながら、
 『反魂(はんこん)の神聖式(しんせいしき)』をくみたてる。

 彼女は間違いなく死んでいるが、
 『死』など、しょせんは、状態異常の一つに過ぎない。






「――死んでも守ると決めたあの日から……この覚悟は、わずかも揺らぐ事なく、『弱い俺』を支え続けてくれた。いつしか気付けば、『君への恋心』は、より強い輝きとなって、『暗闇に迷う俺』を導いてくれていた。いつだって、『君を愛している』という俺の『想い』だけが『俺の全て』だった。その事実が……俺は、他の何よりも誇らしい」






 センの魔力とオーラが躍動する。
 信じられないほど高次の輝き。
 命の華が萌(も)ゆる。

「……死ぬほど愛してる。そんな君を決して死なせはしない」


 そう言いながら、彼女の額に優しく口づけをした。
 すると、



「……かはっ……」



 息を取り戻した彼女を見て、
 バルディが目を丸くする。

「なに?! どういうことだ?! そのババアは、今、間違いなく死んだはず!」

 そこで、センはバルディをにらみつけ、



「……バルディ。覚悟しろよ。俺はお前を……絶対に、許さない」



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