センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
後日談(11) 神呪。
後日談(11) 神呪。
超苺は、エタナルの拳をさらりとかわし、
彼女の力を利用して、軽やかに、クンッと、
彼女の体を一回転させる。
「うわぁあああっ!」
一瞬、何が起こったか分からなくなるエタナル。
しかし、それは一瞬の話。
完璧に一回転したので、
彼女の視界は、すぐ、元に戻った。
2秒ほど経ってから、ようやく、
自分が一回転させられた、
ということを理解した彼女は、
全身に冷や汗をかく。
(なっ……あっ……ば、ばけもの……)
一度、一回転させられただけだが、
しかし、それだけでも十分だった。
(じ、次元が違う……こ、ここまで……ここまで強いとは……)
一瞬で心が折れたエタナル。
彼女は、これまで、自分より強い者を見たことが、ほぼない。
ゆえに、これは初めての体験。
絶望を知らなかった彼女は、
今日、はじめて本物の絶望を知る。
「はっ……はっ……はっ……っ!」
呼吸があらくなる。
絶望すると、本当に視界がせまくなる。
ノドがつまって、いやな汗が止まらなくなる。
ついには頭がクラクラしはじめた、
――と、その時、
「ま、まずいっ!!」
『おでこのタトゥー』が、彼女の全身を浸食しはじめた。
「うっ……うぅうう! ……ぐっ……」
(ん? なんだ、なんだ?)
と、超苺が疑問に思っていると、
「がぁああああああっ!」
天を仰いで、おたけびをあげた。
力いっぱい叫んだかと思うと、
「……はぁ……はぁ……はぁああ……」
深呼吸をしてから、
スっと、視線を超苺にあわせる。
「エタナルには、生まれた時から『神呪』がきざまれていた。発動する条件は『敗北する』こと。解除する条件は『龍の女神の報酬を得る』こと」
その言葉を受けて、超苺は、心の中で、
(暴露のアリア・ギアスか……)
と、思っている間にも、
エタナルは、
「コイチゴ……貴様という『超えられない壁』を知ったことで、私が……『神呪』が目覚めた。貴様が存在する以上、もはや、エタナルが『報酬』を得ることはない。エタナルは、まだ物理的ダメージは負っていないから、闘おうと思えば戦えるが、しかし、貴様には、すでに、敗北したも同然……おかげで、自由になれた。感謝するぞ。……おかげで、エタナルの自我を殺すことができた……エタナルは、この呪いを解くために、これまで、ずっと、必死になって頑張っていたが……けっきょく、無意味な行動だったということだ。……くく……ははは……っ」
しゃべり終えたところで、
エタナルの体を包み込んでいるオーラの質量が、
さらに、一段階、グっと深みを増した。
神呪の発動と、暴露のアリア・ギアスによって、
エタナルの存在値が、先ほどとは比べ物にならないほど高くなる。
とはいえ、
(存在値650……まだ、俺よりは弱い……)
などと思っていると、
エタナルはニっと笑い、
「コイチゴ……貴様は強い。存在値もそうだが、戦闘力が、おそろしく高い。それは十分、わかっている。だから、もう一つ、積ませてもらう。私はなぁ……エタナルがどうなろうと、どうでもいいんだ。だから……」
そこで、天を仰ぎ、
「命を奉げるぅうう! 寿命は残り一か月でいい! だから、リミッターを外せぇえええ!!」
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