センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

38話 女の子を、とことんボコボコにするセンエース。


 38話 女の子を、とことんボコボコにするセンエース。

「な、なに……その力……ど、どういうこと……ありえない……なんで、そんな……『今の私より上の力』なんて絶対にありえない……だ、だって、私、龍の女神を吸収したのよ……この世界で最強の神を吸収して……アダムも……蝉原の弟子も……エグゾギアも使っているのに……な、なんで、その私より……あんたの方が……はるかに大きいの……」

「さあ、知らん。仮に、詳細(しょうさい)を知っていたとしても、てめぇに詳しく教えてやるつもりはないけどな」

 そう言いながら、
 俺は、ユズのもとへと歩いて近づいていく。

 すると、ユズは、

「く、くるなぁ!!」

 そう叫びながら、
 右手を俺に向けて、
 異次元砲を放ってきた。

 すさまじいエネルギー量のビーム攻撃だが、
 今の俺にとっては、レーザーポインターをあてられているのと変わらなかった。

 ほとんどノーダメージの俺を見て、
 ユズは、

「ひ、ひぃいい! な、なんでぇえ! 異次元砲を使ったのに! なんで!!」

 あまりの恐怖で腰をぬかすユズ。

 俺は、そんな彼女に向けて、

「さんざん、ボコボコにしてくれたな、クソ女……覚悟しろよ。何度でもいうが、俺は聖人じゃねぇから、さすがに、ここまでしてくれたテメェに、なんらかの慈悲(じひ)をかけたりはしねぇ」

 そう言ってから、
 瞬間移動で、彼女の背後(はいご)を奪い取る。

 体が死ぬほど軽い。
 『絶死のアリア・ギアス』を積んでいた時よりもはるかに鋭(するど)く動ける。

「泣いて謝っても許(ゆる)してやらねぇが……そもそも、『泣いて謝る』なんてダサいマネ、お前はしないだろうな」

 そう言いながら、俺は、『聖剣をもっていない方の手』で、
 ユズの脳天を、ガツンッと、なぐりつける。

「ぎゃあああああっ!」

 剣を使ったら、一撃で切り裂いてしまうからな。
 そんなことは許さない。
 『世の中』と『人の命』をナメくさったお前には、
 ちゃんと地獄を知ってもらう。

「ユズ……中学の時から、てめぇのウワサは聞いているぞ……」

 そう言いながら、
 俺は、何度も、彼女を殴りつける。

「障碍者(しょうがいしゃ)の女の子を、ヤンキー数人に襲わせて自殺させたってウワサ……正直、半信半疑(はんしんはんぎ)だったが……お前を深く知ったことで確信した。お前はやるよ。そのぐらい。お前は、マジで最低だ。こわれすぎている。人間じゃねぇ」

 俺は、何度も、何度も、何度も、
 彼女を殴りつける。

 ボコボコにされてイラついたのか、
 ユズは、また、ヒステリックを再開させる。

「わ、私はぁああ! 壊れてるんじゃねぇええ!! 私以外が壊れてんだぁああ! 私を不快にさせるのがダメなんだよぉおお! そんな当たり前の話が!! なんで、わかんないんだぁあああ!」

 ユズは、俺の連続パンチからどうにか抜け出すと、
 瞬間移動で、俺の背後をとろうとした。

 けど、全部見えている。
 正直、今の俺には、遅すぎる動き。

 背後にまわったユズに、
 俺は、正面を向いたまま裏拳をいれた。

「ぶへぁああああっ!」

「……本物の悪人は改心なんてしない……理屈としては理解していたつもりだったが、『生(なま)もの』をみると、また違う感想をいだくな……」

 奇怪(きかい)なものを見る目で、ユズをにらみながら、
 俺は、

「お前さぁ……『ちょっとは反省しよう』とか、本当に、わずかも思わないのか? 『しないんだろうなぁ』とは思っているけど、こんだけ、とことん制裁(せいさい)を受けているんだから、多少は、『はしゃがなければよかった』とか思わねぇの?」

「はぁ……はぁ……」

 ユズは、ズタボロのまま、
 殺人鬼のような顔で俺をにらみ、

「私は……何も……間違っていない……」

 ギリギリと奥歯をかみしめて、
 天をにらみ、

「このクソ陰キャを殺す力がほしい! 神様! 聞いているでしょ! 私が大事でしょ! これまで、ずっと、大事にしてくれたもんね! だから、助けてくれるでしょ! 私、死にたくない! だから、助けて!!」

 ワガママを叫ぶ。
 とんでもない女だ……

「プラチナスペシャル!! プラチナスペシャル!!! プラチナスペシャルゥウウウウ! 叫んでんだから、ちょうだいよぉおおお! こいつを殺せる力をよこせよぉおおおおおおお! なんで、何も言わないんだよぉおおお! クソぼけぇえええええええええ!!」

「……プラチナスペシャルは、叫んだらもらえるんじゃなく、目覚めた反動で、つい叫んでしまうものだろ……」

 なんて、俺が、普通のことを言っても、
 そんな言葉は、彼女の心には届かない。

「うるさい、うるさい、うるさい、うるさぁあああああい! 私に説教するな! 何様なんだよ、てめぇ! ほんと、イラつくんだよぉおお!! クソうざいぃいいい!」

「……説教? そんな高尚(こうしょう)なこと、するつもりはねぇよ。俺は、かるくおしゃべりしながら、物理でお前をボコボコにしているだけだ。あと、さっきからずっと、てめぇの方が、よっぽどうるせぇ」

 そう言ってから、
 俺は、ユズの腹部に、思いっきり拳をたたきつけた。


「ぶっはぁああああああああああああっっ!!」


 パワードスーツの耐久値(たいきゅうち)を削(けず)り切ったのか、
 ユズをおおっていたスーツは、スゥっと消えた。

「う……うげっ……う……うぇええ……っ うげぇええ……っ」

 白目をむいて、
 ドボドボと血を吐くユズ。

「く……そ……ボケ……しね……」

 最後の最後まで、ユズは、クズ女のまま、俺をにらみつけている。

 そんなバカ女に、
 俺は言う。

「俺はなぁ……『悪人は改心なんてしない』と思っている。だから、反省をうながしたりはしない。悪を信条としているヤツは、死ぬまで悪のままだから、反省させようとしてもムダ。……それを理解した上で、あえて、お前にだけは言ってやる」

 そう言いつつ、
 俺は、
 ユズの髪の毛をガシっとつかんで、

「さすがに、ちったぁ、反省しろや、ボケぇ」

 そう言い捨ててから、
 俺は、ユズの頭を思いっきり、地面にたたきつけてやった。

 ガツゥウウンッッ!!

 と、『顔面を砕く勢い』で、
 けど、『死にはしないギリギリ』をせめた。
 一回だけでは足りなかったので、
 ガツゥンッ!
 ガツゥン!
 ガツゥン!!

 と、合計、8回ほどたたきつけたところで、


「……っ……ぁ……っ」


 ユズは、ピクリとも動かなくなった。

 完全に気絶したのを確認してから、
 俺は、

「セイバー……このカスに吸収された酒神たちを、奪い返すことってできる?」

 と、俺の『中』にいるセイバーに聞いてみた。
 すると、

「だいぶ、繊細(せんさい)なムーブになるな……一瞬、体、かわってくれ」

「あいよ」

 主導権をセイバーにゆずる。
 その直後、セイバーは、
 ぶつぶつと、

「悪鬼羅刹(あっきらせつ)は表裏一体。俺は独(ひと)り、無間(むげん)地獄に立ち尽くす。どこまでも光を求めてさまよう旅人。ここは幾億(いくおく)の夜を越(こ)えて辿(たど)り着いた場所。さあ、詠(うた)おう。詠(うた)おうじゃないか。喝采(かっさい)はいらない。賛美(さんび)も不要(ふよう)。俺は、ただ、絶望を裂(さ)く一振りの剣であればいい」

 厨二力全開のポエムを詠唱(えいしょう)しはじめた。

 やばいな……俺も、たいがい、厨二と呼ばれるが、
 こいつは、俺を置き去りにしている。

「それでは、独善(どくぜん)的な正義を執行(しっこう)するとしよう。たゆたう『血で穢(けが)れた杯(はい)』を献(けん)じながら。――俺は……聖なる死神セイバーリッチ」

 そこで、ポエムをいったん区切ると、
 セイバーは、
 デスサイズを召喚してから、
 ゆっくりと、ふりかぶり、



「――『ヒーロー見参』――」



 そう言いながら、ユズの体に向かって、
 デスサイズをふりおろす。

 ズバァアアッッ!!

 と、ユズを一刀両断するセイバー。
 あ、死んだ……
 と、思ったが、
 しかし、ユズの体に傷はなかった。

 チラっと、デスサイズの『刃』の部分を見てみると、
 なんだか、ユラユラしている『魂っぽい何か』が七つほど付着していた。


 そこからも、セイバーは、
 何か、複雑そうな『儀式(ぎしき)』であったり、『魔法』であったりを駆使(くし)して、酒神たちを復活させようと努力している。


 最初から、セイバーが『エグい存在』であることは、なんとなく分かっていたが、
 どうやら、セイバーは、俺が想像していた以上に、ハンパない存在らしい。
 ちなみに、俺のヘブンズキャノンも、さっきの一振りでサクっと回収したっぽい。
 セイバー、どんだけ有能なんだ……

 ……数秒ほど、セイバーが頑張ったことで、

「――よし、OKだ。セン、変わるぞ。ここから先はお前に任せた」

「いや、任せたって……俺、なんも出来ねぇよ。全部、ちゃんとやってくれ」

「よみがえらせる作業は終わった。あとは、酒神たちに、ヒーローとしての器をしめせ。それがお前の仕事だ」

 そう言うと、
 セイバーは、俺の許可なく、勝手に主導権を返してきた。

 俺にできることなど何もないので、
 『え、どうしたらいいの?』と立ち尽くしていると、
 俺の目の前にある、七つの『魂』が、
 グニョグニョとうごめいて、
 人型に変化していく。

 ほんの数秒で、
 彼女たちは、元の姿に戻った。
 どうやら、本当に、セイバーは、完璧に仕事を終わらせていたらしい。

 最初に目を覚ましたのは、
 雷の闘衣(とうい)をまとった女――アダム。

 彼女は、
 意識を取り戻すと同時、
 俺のことをジっと見据えて、

「……バカ女の中で……ずっと、あなた様を見ていました……その時……私は、不敬(ふけい)にも……あなた様を『包んで差し上げたい』と、そんな不遜(ふそん)なことを……考えてしまいました……それほどまでに、あなた様の尊さが愛(いと)おしい……」

 凛(りん)とした、大きな目。
 アダムは、スっと、片膝をつき、

「あなた様の尊き雄姿(ゆうし)……あますことなく拝見(はいけん)させていただきました。心技体。すべてにおいて、あなた様は完璧だった。この世に存在する他の何よりも美しかった」

 アダムは、恍惚(こうこつ)の表情というか、
 トロンと、トロけてしまいそうな顔で、
 美しい『大粒の涙』を流しながら、

「この上なく尊き御方(おかた)……どうか、このわたくしめを……」

 震えた声で、

「あなた様のシモベの一人に……その『輝かしき末席(まっせき)』に加えていただきたく存じます」

 そんなことを言ってきた。

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