センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

33話 センエースは見た。


 33話 センエースは見た。


 天覧試合を見学にきた俺の目に飛び込んできたのは、
 信じられないくらいの死闘だった。

 ・『雷をまとったような服を着ているカッケェお姉さん』と、
 ・『蝉原と一緒に俺をボコボコにしてくれたバカ女のユズ』と、
 ・『モブみたいなツラしているくせにすげぇ強いヤツ』、
 その三人が、

 ガン〇ムみたいな、バチクソ格好いいバトルスーツと戦っていた……

 ……あまりに、情報量が多すぎて、普通にパニック!

 なんだ、これ。
 なんだ、この状況。


 正直、全然、わからなかったが、


「ははははは!! 死ね死ね死ねぇ!! 『あんた』も、アダムも、1001号も、全部、死ねぇええええ! この私が最強で最高の女王だって理解して、死ねぇええええ!」


 ガン〇ムみたいなバトルスーツの方が、
 『極悪人感』全開の声でそう叫び、
 かつ、
 ユズが、

「死ねない! 私は、この国を守るって決めたの! もう、誰も苦しませない! 頑張っている人が幸せになれる国を目指すって決めたのぉおおお! 邪魔しないでぇええええ!」

 なんて叫んでいるので、
 どっちが『クズ野郎』で、どっちが『まとも』か、
 そのぐらいの判断はついた。

 ……てか、あいつ、本当にユズか?
 『ユズが魔王になっている』というのは、蝉原から報告があったので知っている。
 あの女のクソっぷりは、この未来世界でも健在(けんざい)らしく、だいぶあくどいことをしているらしい、という話も聞いた。
 ……なのに、なんだ、あのセリフ……

 なんというか……
 あのバトルスーツの方がユズで、
 ユズの方は別人……みたいに考えたら胸にストンと落ちるんだけど……
 もしかして、あいつら入れ替わっている?

 『未来にタイムスリップ』なんて、
 ハチャメチャな状況におちいっているんだから、
 『体が入れ替わる』ぐらいのことは……普通におこるか……?

 なんて思っていると、
 バトルスーツの拳が、ユズの体を豪快(ごうかい)に吹っ飛ばした。

 俺の左横、五メートル地点ぐらいの壁に激突(げきとつ)して血をはくユズ。


「う……うぅ……」


 と、うめき声をあげているユズに、
 俺は、徒歩(とほ)で近づいて、

「よ、よお……生きてるぅ?」

 そう声をかけると、
 ユズは、俺を見て、

「……っ……あなた……」

「ん?」

「い、いえ……あの……あなたも、タイムスリップしたのですね……」

「ん、まーね」

 俺のことを知っている……となると、入れ替わってはいない?
 それとも、体だけではなく記憶も奪い取った的な?

「ごめんなさい……タイムスリップする前の、あなたへの仕打ち……本当に申し訳なく思っております……謝罪はいくらでもさせていただきます……けど、今は……」

「ああ、そうだな。そんなことを言っている場合じゃねぇな」

「彼女を……放置していたら……たくさんの人が傷つくことになる……それは許せません……」

 演技をしているようには見えなかった。
 やっぱり、こいつはユズじゃねぇ。

 だから、俺は、

「……あのさ、もしかして、お前と、あのバトルスーツの中身、いれかわってる?」

 そう尋ねてみた。
 すると、ユズは、目を見開いて、

「……っ」

 息をのんだ。

「ああ、もう、返事はいい。おおよそ理解した」

 やっぱり、入れ替わっていた。
 なんで、そんなことになったかは知らんけど、
 まあ、『170億年後にタイムスリップする』よりは、十分にありえる話だろ。

「な、なぜ、わかったのですか……」

「俺、けっこうな読み手だから。『いれかわり系の作品』は、映画でも死ぬほど流行ったし」

 入れ替わりというのは、物語では頻繁(ひんぱん)に使われるネタの一つ。
 むしろ、『それ系の作品』を一度も見たことがない、という人の方が少ないだろう。

「さてと……あいつが、ユズだってんなら……一発、かまさないとな……『母さんのサイフ』をふみにじったバカ女を、俺は絶対に許さない」

 そう言ってから、俺は、
 後ろにいる三人の美女に、

「手を出すなよ。あのバカ女は、俺が一人でぶん殴る」


 そう言ってから、
 俺は、あのバカ女に向かって突撃する。


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