センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

24話 センエースが、ついに冒険者になった!


 24話 センエースが、ついに冒険者になった!

 ここは冒険者ギルドの受付。

 なんだかんだ、すったもんだ、あったけれど、
 俺は、ようやく冒険者になることができた。

「ああ……冒険者になれた……夢が叶った……」

 そうつぶやくと、
 受付嬢が、俺に、

「登録(とうろく)すればいいだけなので、冒険者は、誰でもなれる職業ですが?」

 と、バカを見る目でそう言ってきた。

 お嬢(じょう)さん、あんたには分からんだろう。
 俺は、これまで、ずっと、中学校という牢獄(ろうごく)にとらわれて、
 毎日、毎日、英語だの、数学だの、古典だの、
 そんなカスみたいな勉強を、強制的にさせられ続けてきたんだ。

 しかし、今日からは俺は、冒険者。
 『学歴社会という牢屋にとらわれた中学生』ではなく、
 『自由に、未知を求めることが許された冒険者』へとクラスアップしたのだ!

 ちなみに、今、俺の後ろには、酒神、アルブム、マリの三人がいる。
 三人とも、外見が美しすぎて、目立ちすぎるので、
 『仮面』をつけて『フェイクオーラがかかったロングコート』を着た状態。

 この三人の同行を、いちおう、許可したものの、
 しかし、『余計な手は出さないように』とちゃんと言ってある。

 『過保護(かほご)に守られている状態』じゃあ強くはなれない。
 俺は、俺の力で未来を切り開いていく!

 さあ、さっそく、『依頼(いらい)』を確認しよう!
 最初だから、やっぱり、定番の『ゴブリン狩り』か『薬草採取(やくそうさいしゅ)』をしたいなぁ……

 『龍を殺せ』とか言われても、今の実力じゃ、しんどいからねぇ。
 ヘブンズキャノンが生えてくれれば、龍が相手でも、どうにかなるだろうけど、
 『3000回に1回』の確率に頼るのは、さすがにギャンブラーすぎるからなぁ。


「……『天覧(てんらん)試合(魔王の前で試合)』の参加者募集……ほう……」


 それは、どうやら、毎年、この時期に行われているものであり、
 魔王の前でトーナメントを勝ち抜き、優勝すると賞金がもらえるというもの。

 『魔王軍の強者』や、
 『上位の冒険者』も参加するらしい。

 日程(にってい)と開始時刻(かいしじこく)を見るかぎり、
 すでに天覧試合は始まっているっぽい。
 そして、見物するのは自由らしい。

 ……見にいってみようか。
 この世界の強者がどんなもんか興味あるし。

 などと思いつつ、
 俺が、一歩を踏み出したところで、

「おっと……」

 となりにいた『ガチムチの冒険者』に足をひっかけられた。

 ……おぉぉ……
 こ、これは、まさか……
 『なろう』で、100億回は見た光景……

 そのガチムチは、俺をにらみつけて、

「おいおい。クソガキ。俺の足を蹴り上げるとは、どういう了見(りょうけん)だ、あぁん?」

 テンプレだ!
 ものすごいテンプレだ!

 すごい!
 嬉しい!

 ずっと、あこがれだった!

 ファンタジー世界で、
 冒険者となり、
 先輩冒険者から、足をひっかけられる!

 ああ!
 俺は、今、間違いなく、夢見続けた世界にいる!

 などと、幸せな気分にひたっていると、
 そのガチムチが、俺の胸倉をつかみ、

「おい、ごら、聞いてんのか?!」

 と、脅しつけてきたので、
 俺は、クールに、



「殺す気でこいよ」



 と、『前提(ぜんてい)』を確認していく。

「あぁん?!」

「お前の見立(みた)ては正しい。俺は弱い。だが、俺の心を殺したかったら、そうとうの覚悟を決める必要があるぞ。なんせ、俺の根性はえぐいからなぁ。『100万回殺しても死なない俺の頭のおかしさ』に震えるがいい」

「……クスリでもやってんのか、てめぇ」

「案外、それよりひどい状態かもしれないぜ」

 そう言いながら、俺は、ファイティングポーズをとった。

 存在値2の俺が、このガチムチに勝つことは不可能だろう。
 けど、勝てるかどうかはどうでもいい。
 俺が欲しいのは実践経験(じっせんけいけん)だ。

 俺には『足りないもの』が多すぎる。
 だから、とにかく、貪欲(どんよく)に経験値を積(つ)んでいく。

 ……ガチムチ、てめぇは俺を育てるエサだ。
 存分(ぞんぶん)に利用させてもらう。

「みるからにショボいクソガキの分際で、この『七つ星』である『ダーバン様』に逆らうとはなぁ……」

 冒険者のランクは、十段階で、
 一つ星が一番下、十つ星が一番上。
 こいつは、上から数えた方がはやい地位にいる。

 新米に足をひっかけてくるようなヤツだから、
 もっと、カスみたいなザコかと思ったが、
 普通に、まあまあ強かった。
 想定外。

「あんた、七つ星なのかよ……その地位にあるなら、新人イビリなんて安いマネしてねぇで、もっと高尚(こうしょう)なことした方がいいと思うんだが?」


「てめぇの感想なんか知るかぁ!」


 と言いながら、ガチムチは、俺に殴りかかってきた。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品