センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

6+話 主人公の覚醒は終わらない!!


 6+話 主人公の覚醒は終わらない!!

 そこで、俺は、蝉原をにらみ、

「蝉原、こい」

 俺の命令を受けた蝉原は、
 そくざに、俺の元までかけ寄ってくる。

「なにかな、センくん。そのトカゲ女に、とどめを刺せというのなら、今すぐにでも――」

「余計な口を開くな。黙って俺の命令にしたがえ」

「……」

 俺に強い口調で命令されて、『何とも言えない顔』をする蝉原。
 何か言いたげな顔をしているが、今は、『こいつの感情』にかまっているヒマはない。

 俺は、俺の『奥』へと集中する。
 俺の『可能性』はまだ残っている。

 感じるのだ。
 俺には、まだチートが隠されている。
 俺はずっと、俺の事を『才能無しの無能』だと思っていたが、
 どうやら、それなりに『潜在能力(せんざいのうりょく)』が秘(ひ)められていたっぽい。

「すぅ……はぁ……」

 深く息をすって、吐いて、
 そして、天を見上げて、



「プラチナァアアアアアアアア!!!! スペシャルゥウウウウウウ!!!!!」



 ノドが引きちぎれるほど叫んでみた。
 すると、当然のように、
 俺の『奥』が開く。
 世界の声が聞こえる。


 ――プラチナスペシャル『病的な高潔(こうけつ)』、開眼――
 ――効果『センエースの高潔さに触(ふ)れた者は、未来を奪い取る力を得る』――


「はぁ……はぁ……」

 俺は、呼吸をととのえてから、

「蝉原、アポロに『殺神遊戯』を使え。あれ、『スキル解除系の技』だろ? 二次創作で読んだことがあるから知っている。アポロの絶死を解除しろ」

「……ぇ、いや、さっき、ためしたけど、出来なかっ――」

「いちいち歯向かうな。命令だ。さっさとやれ」

「…………かしこまりました」

 蝉原は、一度、うやうやしく頭を下げてから、
 両手にオーラを込めて、

「ん? なんだ……これ……」

 そこで、蝉原は気づいたらしい。
 己の可能性が開かれていることに。





「……プラチナ……スペシャル……っっ!!」





 心を吐き出すように、蝉原は、そう言った。


 蝉原にきざまれていた可能性が開く。
 『世界の声』が、俺にも聞こえた。


 ――プラチナスペシャル『ディアブロ・コミュニティ』、開眼――
 ――効果『蝉原の【悪】を愛した者の数だけ、蝉原は強くなる』――


 目覚めた蝉原は、両手をアポロに向けると、
 一度、精神を統一してから、


「――真・殺神遊戯(さつじんゆうぎ)ぃいいい!!」


 『相手のスキルを強制解除する技』をつかった。

 先ほどは、まったく通じなかったのに、
 『真』に届いた今回は、

 ――パリィイインッッ!

 という音がひびき渡り、
 あっさりと、アポロの『絶死』を解除することに成功した。


 ……俺は『自分の絶死』を解除するのに、ゲロ吐くほど苦労したが、
 蝉原は、サラっと、スマートに決めてみせやがった。
 うぜぇ。
 ……ちょっと、泣きたくなった。


 絶死が解除されたという事実に対し、
 アポロが目を丸くして、

「……ぁ、ああ……ど、どうして……そこの『邪悪なる者』に『余の絶死を殺すほどの力』は……なかったはず」

 『困惑(こんわく)しているアポロ』に、
 俺は言う。

「言っただろ。お前が死ぬようなエンディングを、俺は認めない」

「……あ……ぁあ……」

 アポロは、大粒(おおつぶ)の涙を流しながら、
 ムリヤリ起き上がり、俺のもとにかけよって、しなだれかかってきた。
 受け止めた俺に、アポロは、

「……感謝します……尊(とうと)き方……」

 なんて言ってくる彼女の頭を、
 俺は、もう一度、優しくなでながら、

「俺は『胸糞(むなくそ)』が嫌いなだけだ。つまり、俺は『俺のワガママ』を通しただけ。1ミリも尊くはない。あと、お前の絶死を解除したのは、俺じゃなくて蝉原だし」

 勘違いは本当に困る。
 困るというか、気持ちが悪い。

 俺は『いい人間』ではない。
 いつだって、自分がやりたいことをやるだけだ。

 と、そこで、

「……ぅ」

 アポロが、胸をおさえて苦しみだす。

「ん、どうした? 体が痛むのか?」

「い、いえ……た、ただ……『絶死のアリア・ギアス』を使ってしまった影響で……力がうまく入りません」

「ああ、その気持ち、すげぇ分かるわ。俺の場合、絶対的主人公補正のおかげで、高速回復したけど……普通の体なら、けっこうな『しんどさ』が残るだろうなぁ」

「もうしわけありませんが、しばらく、あなた様の『中』で、休息してもよろしいでしょうか」

「俺の中? 意味がちょっとわからんけど……とりあえず、なぜそうしたいのか、その理由を聞かせてくれる?」

「あなた様の『尊き高潔(こうけつ)さ』に触(ふ)れていれば、『コアオーラの再生』が早くなるからです。できるだけはやく、あなた様の力になりたいので、どうか、お許しください」

 『コアオーラ』って、確か、生命体が持つ一番大事なオーラだっけ?
 説明書に書いてあったけど、その辺の抽象的(ちゅうしょうてき)なやつは、正直、よくわからん。

「……まあ、よくわからんけど、それで楽になるなら、好きにしろよ」

「ありがとうございます。主上様(しゅじょうさま)」

「なんだ、その呼び方……恥ずかしいから、やめ――」

 やめてくれと言う前に、
 アポロは、俺の中へととけていった。

「ぉ、おお……なんか、変な感じ……」

 体の中が、とてもポカポカしている。
 『重たい』と感じる部分もなくはないが、
 不思議と『邪魔だ』とは思えなかった。

「センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く