センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

2話 ヤンキーに全力で土下座されるセンエース(ここから、永遠に『ざまぁ』展開)。


 2話 ヤンキーに全力で土下座されるセンエース(ここから、永遠に『ざまぁ』展開)。

 ――目が覚めた時、
 俺は『天井(てんじょう)のない玉座(ぎょくざ)の間』にいた。


「……えぇ……えっと……これは……」


 体をおこして周囲を見渡す。
 すると、

「センくん!! おきたのか!」

 背後にいた蝉原(せみはら)が、
 必死の顔で、近づいてきて、



「センくん! すまなかったぁあああああ!!」



 全力で土下座(どげざ)をはじめた。

「な、なんだ、急に……」

 こまっている俺に、
 蝉原は、いきおいよく、

「おれが悪かった! 心の底からあやまる!! だから、どうか、許してくれぇええええ! このとおりだぁあああああ!!」

 そう叫びながら、
 何度も何度も、おでこを地面にたたきつける。
 血が出ているが、かまわずに、何度も。

「……えっと、蝉原……まず、事情を教えてくれる?」

「ああ、もちろんだ! 君のいうことは、なんでも聞く! だから! お願いだから! 『死ね』と命令するのだけはやめてくれぇ! 頼むから、冗談でも口にしないでくれ! たのむからぁあああああ!」


 ★


 ――必死の蝉原から話を聞いたところ、
 だいたいの事情は飲み込めた。



「なるほど。ガチで、お前は、『俺の命令には逆らえない状態』になっているのか」



 ここに来る前、『謎の声』が言っていた。
 俺に『蝉原を自由にできる力』を与えるとか、なんとか。
 どうやら、あれが、本当だったらしい。

「君の『おれに対する命令権』が『絶対であること』は間違いない! 感覚でわかる! 君に言われたコトを、おれは絶対に実行しようとしてしまう! おれの意志とか関係なく、死ねと言われたら、間違いなく自殺してしまう! だからぁああ! どうかぁ!!」

 そう叫んで、また、おでこを地面にたたきつける。
 それを見た俺は、

「……鬱陶(うっとう)しいから、土下座するの、やめろ」

 そう命令すると、
 蝉原は、

「かしこまりました!」

 と、大きな声で返事をして、
 すぐさま、立ち上がる。

 直立不動(ちょくりつふどう)の蝉原を見て、
 俺は、

「……とりあえず、さっき、お前が言っていた『説明書』とやらを見せろ」

「こちらです、どうぞ!」

 蝉原は、うやうやしく『説明書』を差し出してくる。

 ……どうやら、『目覚めたときには、すでに持っていた』らしい。
 『俺たちに何が起きたのか』とか、色々と、重要な情報が書いてあるようだ。

「……えっと、なになに……『あなた達は170億年後の地球にタイムスリップしました。あなたがただけが選ばれた理由は特にありません。自由に生きてください』と……ほう……」

「自由なのは君だけ……だけどね。おれは君の奴隷だ」

「……ハイファンタジー化したこの未来世界において、言語(げんご)の心配をする必要はありません。『一定以上の知性を持つ者』は全員が『ほんやくコ〇ニャク』を食べていると思ってください。……ほう……ご都合主義(つごうしゅぎ)だねぇ……」

「だが、ありがたいよ。一から言語を勉強するのは、あまりに手間だ」

 説明書に書かれている項目(こうもく)は、かなり文量が多い。
 簡単にまとめると次のとおり。

 ・タイムスリップした際、俺と蝉原は『魔人(人間とほぼ変わらない)』と呼ばれる種族にクラスチェンジしている。
 ・純粋な人間はすでに絶滅(ぜつめつ)しており、『モンスターが進化して人間っぽくなった魔人』が、今の地球の支配者として、100以上の魔人国家を築(きず)いている。

「俺も蝉原も『魔人』になってんのか……でも、見た目、全然変化ないな。じゃっかん、肌の色が変わっている気がしないでもないが…………ってか、人間、絶滅(ぜつめつ)してんのかい……あまりにも突然な出来事すぎて、まったく実感がわかねぇ……」

「おれもそうだね……ほんと、とんでもないことになってしまったよ」

「……『魔人に進化したモンスター』の中でも、特別な資質を持って生まれたものは、さらに進化して『魔王種』にランクアップして、他の魔人をたばねて国をつくる……と……なるほどねぇ」

 それなりに読み込んでから、
 俺は、蝉原に視線を向けて、

「えっと、ようするに、現在の地球は、そこら中、モンスターだらけで、そのモンスターの頂点である『強力な力を持った魔王』が100体以上いるヤベェ星だ、と……エグいな……これ……ただの魔界じゃねぇか」

「そうだね。この未来世界に100体以上いると言われている『魔王』の『存在値(レベルを底値(そこね)とした総合値)』は『300~500』。かなりやばいね」

 魔人にクラスチェンジしても存在値は変わっていない。
 ちなみに、俺の存在値は『2』だと説明書には書いてあった。
 ……え、俺、死ぬほど弱くない?

「もし、魔王に出会ってしまったら、俺らみたいな一般人、鼻息で殺されるんじゃねぇか?」

「そうならないための救済措置(きゅうさいそち)が……『永遠人形』みたいだね」

「……永遠人形? それって、ゲームの?」

「ああ」

 蝉原は、一度うなずいてから、

「実は、説明書はもう一冊あるんだ。あ、一応、言っておくけど、これは隠していたわけじゃないよ。こっちは、あとで見せた方がいいと思っただけだからね。変に疑(うたが)って怒らないでくれよ」

 慎重(しんちょう)に慎重を重ねて口をひらく蝉原、

「……一つ、聞きたいんだけど、センくん、君は、永遠人形をプレイしたことがあるかい?」

「……いや、ない。二次創作を読んだことはあるし、ユ〇チューブでプレイ動画を見たことはあるけど、実際にプレイしたことは一度もない」

 永遠人形は、世界的に有名なRPG格闘ゲーム。
 課金でキャラを強化できる『札束(さつたば)で殴りあうタイプ』のゲーム。

 俺の返事を聞いて、蝉原は苦い顔をする。

「ま、マジでか……じゃあ、『フェイクオーラ(能力を隠せる魔法)』を使っているとかじゃなく、君は、本当に、ガチで、そのスペックってことか……そ、それは……ちょっと、困ったな……」

「なんで…………あ、もしかして、この世界って、永遠人形のセーブデータが、そのまま自分の力になるタイプのアレなのか?」

「……おっと、すさまじい推察力(すいさつりょく)だね」

「その手の『なろう系』は死ぬほど読んできたからな。俺、けっこうな読み手よ」

 などとしゃべっていたが、
 俺は、一転、顔を青くして、

「てか、え、マジか……これって、永遠人形をプレイしていないと終わる系の『なろう系』? 勘弁(かんべん)してくれよ……うそだろ……」

「ほんと、困ったね……正直、あれだけ有名なゲームだから、軽くさわったことぐらいはあると思っていたよ……いや、これは……どうしたものかな……」

「……さっきから思っていたんだが、なんで、お前が困るんだよ……」

「君が死んだら、おれも死ぬからだよ」

「……おっと、マジでか……それも、感覚で分かる感じ?」

「ああ。君の命とつながっているのを感じる。君は感じないかい?」

「いや……特に……」

「そうか。まあ、君がどう感じていようと関係ない。君が死ねば……間違いなく、おれも死ぬ。だから、正直、困っている。永遠人形のデータがない君はただの一般人だ……この魔王だらけの世界では……すぐに死んでしまう可能性が高い」

「そうだなぁ……どうすっかなぁ……」

「そこで、提案(ていあん)なんだが……おれの弟子を、きみの護衛(ごえい)につけさせてくれないか?」

「弟子……ああ、そういえば、永遠人形には、そういうシステムもあるんだっけ」

「おれの弟子は、全部で10人いるんだが、そいつらも、俺と同じで、君に絶対服従(ぜったいふくじゅう)だ。君のことを、全力で守ってくれるだろう」

 そう言いながら、蝉原は、



「――『酒神(さかがみ) 終理(しゅうり)』……召喚(しょうかん)」



 自分の弟子を呼び出す。
 蝉原の目の前に出現した魔方陣(まほうじん)から、
 絶世(ぜっせい)の美女が飛び出してきた。

 翠(みどり)が混じった金髪サイドテールのえげつない美女。
 だいぶ『ギャル』が入っているハデな見た目。
 露出度の高い、アメスクみたいな服装。
 とにもかくにも美貌(びぼう)がハンパない。
 世界中の『全ての美女』をかき集めても、こいつの右に出る者はいないだろう。

 地味な俺とは、まさに正反対って感じ……


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