センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

88話 データを置き去りにした強さ。


 88話 データを置き去りにした強さ。


「ここに来る前までは――いや、もっと言えば、お前が変身した直後ぐらいまでは『これまでにない死闘になる』と思って色々と覚悟していたんだが……お前、ちょっと、弱すぎるぞ。どうした? 体調不良か? もしかして熱ある? それとも寝違えた?」


 センの煽りに対し、
 ヨグは、

「……データと……違う……」

 ブツブツと、

「……なんだ……この『異次元の強さ』は……何がどうなっている……『これまで』と全然違うじゃないか……『今回の周』に、いったい、何があった……」

 そこで、ヨグは、自分の中へとアクセスしていく。
 その過程をへることで、ようやく気付く。


「……よ。ヨグ=ソトースのプライマルメモリが……死んでいる……バカな……天童たちに殺されたのか……ぐ……そ、そんなバカな……ほんの数周前まで、まったく相手になっていなかったのに……」


 そこで、ヨグは、
 さらに、自分の奥へと潜っていき、
 センに何が起こったのかを確認する。

「……レゾナンス世界線に……届いていやがる……それに……絶対的精神的支柱の『七段階目』までが……覚醒しているじゃないか……五段階目が限界だったはずだろ……なんだ、これ……なんだ、この状況……」

 ギリっと奥歯をかみしめて、

「最悪だ……最悪だ……最悪だ……まさか、この私か……私が、『死ぬ役目』を担うのか……くそ、くそぉ、くそぉおおおおお!」

「何をそんなに落ち込んでいるのか知らんけど、そろそろ再開していいか?」

「……何をすれば……どうすれば、センエースを殺せる……センエースエンジンを使えば……どうにかなるか……?」

 そこで、ヨグは、自身の中にセンエースエンジンを刻み込むという選択肢を取った。

 だが、

「……だめだ……付け焼刃じゃ、クソの役にも立たない……こんなもの、カス以下だ」

「なんだか、間接的にディスられている気がする……いや、これ、もう、間接的じゃなく、だいぶ直接的な悪口だな……」

 そんなセンの不満顔など一切シカトして、
 ヨグは、

「なにか……なにか、なにか……ぃ、いやだ……このまま終わりたくない……腹をすかせたまま……死にたくない……せめて……せめてぇえええ! 数秒後に死んでいいからぁあああ! 私の可能性、その全部を、よこせぇえええええええ!!」

 その叫びの直後、
 ヨグの体が真っ赤に燃える。

「おー、おー、こらまた、雑に絶死を積んだなぁ……」

 ボソっと感想を口にするセン。

 そんなセンの視線の先で、
 ヨグは、

「もっと! もっとだぁああ! どうせ、私に『この先』は存在しない! だから、『あったかもしれない未来』の可能性も、残さず、全部よこせぇええええええ!」

 コスモゾーンにカツアゲをかましていく。

 どんな弱みを握られているのか知らないが、
 ヨグのカツアゲに対し、
 『OK』っと、素直にこたえるコスモゾーン。

 グツグツと膨らんでいく。
 ヨグはどんどん大きくなる。

 ――けれど、

「た、足りない……まったくもって、足りていない……この程度では、どうしようもない……センエースには届かない……」

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