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50話 オルゴレアム・オーバーロード/エニグマサタナエル:タイプ・エヴァンジュエル。


 50話 オルゴレアム・オーバーロード/エニグマサタナエル:タイプ・エヴァンジュエル。

「コレを全部、おひとりで背負ってくれたのが、センエース神帝陛下じゃ」

 今なら伝えられると思って、
 ゾメガは、センエースの尊さを語った。

 これまで、ゾメガは、配下の者に、センエースを伝えようとしたことはほとんどない。
 なぜなら、伝えられる気がしなかったから。
 どんな言葉を並べようと、センエースを知らない者に、センエースを伝えることは不可能だと理解していたから。
 本物の絶望を知らない者に、
 センエースを理解させることなど、絶対に不可能。

 けれど、今なら言える。
 この地獄の底でなら、
 きっと、理解してもらえると思った。
 だから、言わずにはいられなかった。

「心に刻み込め。自分たちの王が、どういう存在なのか。何をしてくれたのか。中には、センエースという存在を、余と平とミシャの三人を合わせた総称、などと思っておる者もおるようじゃが、アホかと言いたい。余は諦めた。当たり前のように折れた。世界大戦でも、バグ戦でも、愚神との闘いでも、余は完全に折れていた。余の名誉のために言っておくが、折れたのは余だけではない。平もミシャも目が死んでいた。世界中の全員が折れていた。誰もが諦めた。そんな中で、たった一人……すべてを背負って、地獄と向き合ってくれたのが、センエース神帝陛下なんじゃ」

 そう言い切ってから、

「正しく敬意を示せ。魂の底から感謝しろ。ナメた勘違いをするな、愚か者ども」

 思いのたけをぶつけると、
 そこで、グンっと、丹田に力を込めて、
 練り上げた魔力に深みを与えていく。

 沸き上がり、膨れ上がった、『神を伝えたい』という想いが、
 ゾメガの中で結晶になっていく。
 脳内麻薬が加速していく。
 分泌されたホルモンが大暴れしている。

 ゾメガの中には、まだ、いくつか残っていた。
 それが、次々と開花していく。
 『史上最高格の潜在能力を持つ魔王』を甘く見てはいけない。


「――オルゴレアム・オーバーロード/エニグマサタナエル:タイプ・エヴァンジュエル――」


 究極の変身に『輝きの属性』を追加する。
 複数の属性変身を有するのがゾメガの特徴の一つ。
 無数に追加できる属性の中で、
 『最高峰の逸品』をぶちこんだ。

 結果、バフ効果にも磨きがかかる。
 受けたダメージも相まって、
 上昇率がドえらいことになっている。

「タイプ・エヴァンジュエルを追加したことで、余の指揮下にある『余より存在値が低い者』は、MPが無限になるだけではなく、魔力コントロール率も上昇。被ダメージは99%カット、状態異常付与率1900%アップ、火力12000%アップ、さらには、戦闘力もわずかながら上昇する」

 そんなゾメガの言葉に、
 『2号』は笑みを浮かべて、

「暴露を積んだから、さらに上昇率アップと。ははははは、なかなかいい感じの数字になってきたじゃないか。そのスペックなら、誇っていい。悪くない上昇率だ。センエースの覚醒と比べれば、まだまだショッパイけれど、それは、比べる相手が悪すぎるというだけの話」

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