センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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46話 それは閃拳ではない。


 46話 それは閃拳ではない。

「もちろん、ボクは、ゾメガさんの指揮下に入っていますよ。今、この瞬間だけの話ではなく、基本的に、ボクもミシャも、ゾメガさんの指揮下で動くことを、師から命じられていますからね。まあ、命じられていなくとも、指揮能力が最も高いのはゾメガさんなので、普通に任せると思いますけれど」

 そこで、ゾメガが追撃を入れるように、

「あと、現状、ここにいるゼノリカの面々、全員が、火力3050%上昇しておるわけだが……3050が上限だと、誰か言ったか?」

「……」

「オルゴレアム・オーバーロードに変身している際、余のHPが5%減少するごとに、被ダメージ減少率と状態異常付与率と火力の上昇率がアップする」

「……」

「この暴露で、状態異常付与率が610%アップ、火力3120%に上昇した。さらに――」

 そこで、ゾメガは、自身の腹に腕を突っ込む。
 ゴフッォッと、吐血しながら、

「貴様を効率的に殺すため、あえて自傷するという覚悟も積んだ……これで……被ダメージカット率89%、状態異常付与率650%、火力5230%にまで上昇。さらに、ここから先、余は前線で暴れさせてもらう。ゼノリカを守るため、マジックキャスターらしからぬ前陣特攻という覚悟を積む。これで火力は5500%。前衛で暴れれば、ダメージも免れない。余がダメージを受けるたびに、ここにいる全員の総合力が底上げされていく」

 すべての覚悟をぶちこんでいく。
 これでもかと、『王』の背中を、
 配下の面々に、魅せつけていく。

 当然のように、士気が上がる。
 オルゴレアム・オーバーロードによる上昇率以上の効果が表れる。


「行くぞ、アルテマウムル・シャドー。ゼノリカを教えてやる」


 そう宣言してから、
 ゾメガは特攻を決め込んだ。

 ゾメガは、魔法が得意なだけで、
 インファイトが苦手というわけではない。

 平熱マンやセンエースと比べたらザコだが、
 それは、比べる相手が悪いだけで、
 ゾメガの『タイマンインファイト戦闘力』は、
 余裕で、前衛職のジャミやカンツを超えている。

 ゼノリカ最高格の『多数戦専門の魔法使い』でありながら、
 タイマンインファイトでも、九華のチート連中をぶっちぎっている天才。

 平熱マンやミシャやセンエースやシューリやアダムがエグすぎて、
 これまで、あまり目立ってはいなかったが、
 ゾメガの潜在能力は、普通にバグっている異次元。

 ゾメガは、
 膨大な魔力を拳にぶちこんで、

「――閃拳――」

 ゾメガの閃拳は、センの閃拳とは、システムが違った。
 ゾメガはオーラを込めた肉弾戦を得意としていない。
 苦手ではないが、特別得意というわけではない。
 だから、オーラではなく、その『イカれた魔力』を大量にぶちこむという形で、
 閃拳を再現した。

 『頭の固いセンエース教の教徒』なら、
 『それは閃拳ではない』
 とダメ出しするだろう。

 ゾメガは思う。
 『センエースと本気で殺し合ったこともないただの狂信者が、偉そうに講釈を垂れるな』と。

 『閃拳で大事なことは、形を整えることではない』
 『絶望をくじく事。それだけが閃拳の意味である』

 それが、ゾメガの哲学。
 そして、その哲学は、
 正しく、実行される。


「ぐぅううっ!」


 顔面に閃拳を叩き込まれたウムルは、
 鼻血をまき散らしながらのけぞる。


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