センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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43話 ソウルゲート耐性。


 43話 ソウルゲート耐性。

「平……勘違いはするな。余は、師ほどではないが、静寂を好む探究者タイプであるから、ソウルゲートと相性が良かったというだけ。ぬしよりメンタルが優れているとか、そういうことではない」

 実際に、その通りだった。
 平とゾメガのメンタルは、どちらも、高いレベルで拮抗している。

 ただ、方向性には違いがある。
 『ソウルゲート耐性』にも生まれつきの差異があった。
 それだけの話。

 ちなみに言っておくと、
 『ソウルゲート耐性』という視点で言えば、
 センよりも、ゾメガの方が高い。
 もっと言えば、平の方がセンよりも高い。

 センエースは、根性がバグっているから、彼らよりも長い年月を過ごせただけで、『耐性』が高いから200億年を過ごせたわけではない。
 というか、そもそもにして『200億年を過ごせる耐性』など存在しない。
 センエースはバグっている。
 いつだって、それだけの話。

 ――そこで、ウムルが、ゾメガの目をジっと見つめて、

「……一回り大きくなった気がするな……気のせいかもしれないが」

「気のせいではないぞ。余は大きくなった。あの無機質な扉の中で、100万年間、遊んでいたわけではない。自分に没頭し続けた……あの研ぎ澄まされた時間は、余の器になってくれている」

「ソウルゲートを使えば、誰でも、だいたいは強くなるもの……けれど、『だいたい強くなった』という程度では絶望を殺せない。1000万年をつめばよかった、などと、あとからグチャグチャいうのではなく、最初から積んでおくべきだった。それができるかどうかが、センエースとお前の差だ」

「ぐうの音も出んな」

 くつくつと笑いながら、
 ゾメガは全身に魔力とオーラを充満させていく。
 ソウルゲートに入る前よりもはるかに洗練されたムーブ。

 すべてが磨き抜かれている。
 100万年間の積み重ねを肌で感じる一同。

 こうなってくると、天下の面々も、
 ゾメガが一回り大きくなったということを理解する。

 ここにアホは一人もいないので、
 『ソウルゲート』に対する理解も、
 両者の会話の端々から拾いとった情報を繋ぎ合わせることで、
 どうにか理解することができた。


 ――ゾメガは、もっと、もっと、深く、自分に没頭する。


 ゾメガは、平熱マンから、センが積んだ時間を聞かされている。
 センの言葉は、三至の中で共有されている。
 正直、理解できなかった。
 200億年を積んだという覚悟。
 その献身が、
 ゾメガには理解ができなかった。

 けれど、今のゾメガには、
 少しだけ、センの想いが理解できた気がした。
 本当に理解できたわけではない。
 センエースを正しく完全に理解できる者などいるわけがない。

 ほんの少しだけ分かった気になっただけ。
 しかし、それだけでも随分と違った。

 ゾメガの中で、
 『核が不明』の力が湧いてくる。
 ゾクゾクと脳を揺らしながら、
 ふつふつと、沸き上がってくる。

「リラ……リラ……ゼノリカ……」

 気づけば、口をついて出た。
 祈りたいと思ったわけではない。
 気づいた時には祈っていた。


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