センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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42話 失敗した、失敗した、失敗した、失敗した。


 42話 失敗した、失敗した、失敗した、失敗した。

「ありがたぁああいっっ!!」

 ゾメガは、心の底から、世界に対して感謝する。

 ぶっちゃけた話、全部を賭したとしても、
 今のゾメガの魔力では、ウムルを削り切れるかどうか微妙だった。
 だから、出来れば、『磨きたい』と思っていた。
 心のどこかでは、『開いてくれないだろうか』と願っていた。

 その願いが通じたのだから、
 当然のように、ゾメガ全部が歓喜に震えた。


「100万だ! 余のメンタルは、平と、そこまで大きな差はない! 100万年の時間をくれ!」


 すぐさま答える。
 『もし、自分の前に開いたらどうしよう』と、
 今日までに、何度も考えていたため、
 間髪入れずに、最も適切な数字を望むことができた。

 そのまま、何の迷いもなく、
 ゾメガは『ゲート』を開けた。

 ――そこから、ゾメガの、気が遠くなる長い旅が始まるわけだが、

 しかし、他の者の視点だと、
 ゾメガは、壊れた『ど〇でもドア』をくぐりぬけただけ。

 平はまだ意味が理解できている。
 五聖の面々と、九華の面々も、
 一応、神になっているし、『上』から話もあったので、
 なんとか、理解できている――が、
 天下の面々からすれば、何がなんだかサッパリだった。

 いきなり上司が、年数を叫びながら、
 壊れた『どこで〇ドア』を素通りするという状況を、
 前提知識なしで目の当たりにしてしまったのだから、困惑して当然。

 ――壊れた『ど〇でもドア』をくぐりぬけた後のゾメガは、
 一見すると、何も変わってないように見えた。

 ただ、平とウムルにだけは伝わった。
 『審美眼が突き抜けている者の目』には明らかな違い。
 ゾメガは、一度、天を仰いでから、



「……失敗した……」



 痛みを伴う顔つきで、ボソっとそうつぶやいた。

 その発言を耳にした天下の者たちは、
 何が何だかわかっていないが、
 『失敗したということは、ここから事態が好転したりはしないのだろう』
 と、認識して落胆の表情を見せた。

 天下だけではなく、ソウルゲートのことを朧げに理解している天上の者たちも、ゾメガの失敗発言に対して消沈した。

 ゾメガが、平熱マンやミシャぐらいの覚醒を魅せてくれれば、
 この状況も、どうにかできたかもしれないのに、
 と、不敬ながら、ゾメガに対して、心の中で文句を口にする者もチラホラ。

 ――そんな、暗澹とした空気の中、
 ゾメガは、天を仰いだまま、


「1000万年にすればよかった……1億年は流石に厳しかったであろうが、1000万なら、普通に耐えられた……失敗した……」


 苦虫をかみつぶしたような顔で、ボソっとそう言った。

 言葉の真意をつかみ取るのに時間がかかっている周囲の一同。
 この中では、特にソウルゲートを理解している平が、おもむろに、

「あのゾメガさん……100万年の旅路、まずはお疲れ様です。それで、あの……1000万年にすればよかったって、それ本気で言っているのですか?」

「最初に言っておくが、平……勘違いはするな。余は、師ほどではないが、静寂を好む探究者タイプであるから、ソウルゲートと相性が良かったというだけ。ぬしよりメンタルが優れているとか、そういうことではない」


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