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37話 『三至』VS『ウムル』。


 37話 『三至』VS『ウムル』。

 平熱マンは、そのふざけた名前とは裏腹に、
 すさまじく丁寧な『飛翔する剣撃』でウムルの動きを封じる。

 その間に、ゾメガは、オルゴレアムビーストを発動。
 いつもの、老人然とした姿ではなく、
 筋骨隆々の若々しい究極の化け物となる。

 変身ビルド特化のゾメガは、
 普段の老人の姿だと、力の大半が封じられた状態だが、
 その分、変身した時の爆発力がハンパではない。
 特に、魔力量という点においては、他の追随を許さないレベル。
 そんなゾメガが誇る、最強の魔法。
 永きにわたり、磨き続けてきた究極奥義。





「――\/\ 【エニグマ・ミーティア】 /\/――」





 72丁のフルパレードゼタキャノンを融合させて放つ超必。
 デメリットも多いが、その分、火力は絶大。
 桁違いの暴力が、ウムルに襲い掛かる。

「ずぁあああああああああああああああああああああああああっ……」

 異次元の暴力にさらわれたウムル。
 『家族を蹂躙された怒り』が込められているエニグマ・ミーティアは、
 普段のソレよりも幾分か重たい。

 情け容赦なく、ウムルの中心に食らいついていくエネルギーの暴走。

 その強大な一撃に対して、
 ウムルは、

「うぐぐぐぐぐぅ……」

 体幹の全部に気合をぶちこむ。

 結集したバ火力の暴走を、全身で受け止めたウムルは、
 最後の最後まで、しっかりと、ミーティアの重みを味わった上で、

「だぁりゃああああ!!」

 自身の魔力とオーラで、
 『イカれた火力の照射』を消し去ってみせた。

「なっ……」

 ウムルの、あまりにもバカげた行動に対し、
 純粋な動揺が止まらないゾメガ。

 ウムルは、ニィと微笑み、

「何がなんだか分からないって顔しているな。自慢したいから、暴露を積むついでに、少しだけ教えてやるよ。こちとら、ゼノで、100万回くらい、全力の龍閃崩拳をくらってきたんだ。貴様のエニグマが『頭おかしいバ火力』なのは知っているが、しかし、センの超必殺技と比べれば明らかにヌルい。重さが違う。鋭さが違う。深みが違う。覚悟が違う。練度が違う。私が積んできた地獄は、貴様らが想像できる範疇をはるかに超えているという現実をその身に刻めぇ!」

 エニグマ・ミーティアを受け止めたあとのウムルは、
 さらに、グっと、存在感が増していく。

「さあ、絶望する時間だぞ、ゼノリカ。役者がそろった、ここからが本番。これまでのアレコレはアイドリングにすぎない! ここから、全力でアクセルをいれていく! ゼノリカの支柱であり、希望でもある、三至天帝をブチ殺し、ゼノリカという組織そのものを打ち砕く。その絶望は、私の器となり、限界を超えて、私を黒く輝かせる!!」

 叫んでいる間も、
 ウムルの存在感は厚みを増していく。

 その膨らみを見て、
 ゾメガは思う、

(……P型の亜種みたいなものかと予想しとったんじゃが……これは、違うな……まったくの別物……バカげた数値だけは似たようなものじゃが……内に秘められた『積み重ね』が、P型とは、ケタ違い……こいつは本物……P型とは比べものにならん、本物の質量……)


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