センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

23話 最高峰かつ純然たる悪だから、正義の化身であるゼノリカを叩き潰す。


 23話 最高峰かつ純然たる悪だから、正義の化身であるゼノリカを叩き潰す。

「カンツ・ソーヨーシ。お前はセンエースのことを、所詮は、概念の擬人化に過ぎないと判断した。それが敗因だ。もし、お前ほどの器の中心に、正しくセンエースが刻まれていたならば、おそらく、私程度は、簡単に対処できていただろう」

 それは、ウムルの本音。
 だが、カンツの中にセンエースは刻まれていない。
 だから、カンツの睨みは届かない。
 今のカンツではウムルを止められない。

 ――ウムルは、拳にオーラと魔力を込めて、

「煉獄閃拳」

 カンツの脳天めがけて、
 重たい閃拳を叩き込んだ。

 頭蓋骨がヘシャげる。
 脳が飛び散る。

 あまりにも凶悪すぎる一撃を受けて、
 さすがに機能停止に陥るカンツ。

 カンツがボコられる光景。
 その地獄の一部始終を、あますことなく全て見ていた天下の面々は、

「……む……むちゃくちゃだ……」

 あまりにも異常すぎる状況に、
 震えを止めることができなかった。

 アルテマウムル・シャドーという敵の、あまりにレベルの違う強さを前にして、どうしたらいいか分からなくなってくる。

 『敵が自分より強いから』といって、
 無様に逃げ出すようなカスは、この場に一人もいない。
 そんな者は、ここまで上り詰めることは出来ない。
 だから、みっともなく逃げ出す者はいなかった。

 ――けど、『この状況をどうにかする手段』が、この場にいる誰も思いつかず、
 だから、当然のように、全員が、呆然と立ち尽くしてしまう。

 抗う気力はある。
 この中には『聖典』をアホほど読み込んでいる者もいる。
 だから『勇気の叫び方』は知っている。
 けど、『実際の鉄火場』で『無限の勇気』を叫ぶのは本当に難しい。

 センエースを信じる者も、
 センエースを信じていない者も、
 一律に、『本物の絶望』の精度を思い知る。


「さて、それじゃあ、お前ら死ぬか? というか、さっき殺しそこねたガキがいたな……」


 そう言いながら、ウムルは、アモンを探して、

「お、いたいた」

 発見すると、瞬間移動で、目の前に移動して、
 アモンの髪をつかみ、ニタニタと笑いながら、

「どうだ、アモン。カッコよくお前を助けてくれたヒーローは、ご覧の有様だ」

 そう言いながらカンツを指さすウムル。
 頭部がグチャっている無残な姿。

「よく見ろ。あれが、末路だ。カンツの死体だけじゃなく、周囲に転がっている死体も、ちゃんと、その目に焼き付けろ。これが、現実だ」

「ひっ……ひぃ……っ」

「ゼノリカに属する者は、今日、全員、こうなる」

 ウムルは宣言する。
 『皆殺しにする』という地獄の宣戦布告。

「アモン、もっとだ。もっと、その目に焼き付けろ。心に刻み込め。今日は、ゼノリカが死ぬ記念の日。その運命を、もっと魂に擦りつけろ」

「な……なんで……こんなこと……」

「おいおい、無粋だな、アモン。理由なんて一つしかないだろう」

 それまで以上に、黒く、微笑んでから、

「私が悪者だからだよ。最高峰かつ純然たる悪だから、正義の化身であるゼノリカを叩き潰す。当たり前の話」

「……う……うぅ……」

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