センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
12話 センエースが本気を出すと……
12話 センエースが本気を出すと……
「殺しはしない。強制させるだけだ。あなたは、ボクの家族であり、師が大事にしている配下の一人。その事実を忘れるほど愚かではない」
「いや、もう、取り返しがつかないほどの愚かさを、これでもかと、晒しまくっておるがのう……」
やれやれと首を横に振ってから、
「真・第一アルファにくるまでは、シッカリ者の冷静沈着な支配者の一人じゃったというのに……なんで、急に、こうも歪むかのう……」
「歪んでなどいない。ボクは、師がいかに大切な存在であるかを、あらためて、正しく理解しただけ」
「……師は『ほとんど欠点を持たない高潔で尊い存在』なんじゃが『本気を出しすぎると、こうして、イカれた狂信者を生み出してしまう』というのが、実は、結構な欠点というか、だいぶ大きな問題点なんじゃよなぁ……」
あまりに尊すぎるため、
近づきすぎた者は、ほぼ例外なく狂ってしまう。
(まあ、当人としても、それが理解できているからこそ、周囲から人を遠ざけようとしておるのだろうが……)
師が孤高を尊(たっと)んでいる理由を優雅に誤解するゾメガ。
まあ、ゾメガの推測は、あながち間違っているわけでもないのだが、
しかし、本質からは、やはりズレ込んでしまっている。
いろいろと、『近づきすぎて狂信者を量産してしまわないため』という、
『隠し味的な理由』もなくはないのだが、
結局のところ、センは、ただの『ぼっち至上主義者』なだけ。
そこは絶対に揺るがないのである。
――と、その時だった。
ゾメガ、平、両者とも、
凶悪な気配を感じた。
「……こ、この気配……まさか、侵入者?」
「……その可能性が高そうじゃのう」
侵入者の気配を認識すると同時、
両者は、瞬間移動で、侵入者の元に向かおうとする、
――が、
「……次元ロック……」
『裏ダンジョン・ゼノリカ全体に、高位の魔法がかけられている』と理解した二人は、すぐさま、両足に力を込めてダッシュ。
凄まじく俊敏な動きで、
裏ダンジョン・ゼノリカ内部を駆け抜けていく。
「やはり、大きな問題が起きていた! ゾメガ! もたもたして、後手にまわったのは、あなたの失態だ! あとで必ず、その責任を追及させてもらう!」
「好きにせぇ。とにかく、今は、対処をせねば」
「そんなことは言われなくとも分かっている!!」
全力ダッシュで目的の座標に向かう二人。
裏ダンジョン・ゼノリカは『無数の世界の集合体』であり、移動には瞬間移動が必須だが『次元ロックがかけられた時のための隠し通路』は無数に用意されている。
ここは神の『城』である。
つまり、本質は、敵の進行を防ぐ最後の砦。
なので、当然、『次元ロックをくらったら詰みます』という状態にはならないよう、とことん配慮して設計されている。
二人が、侵入者の元まで駆け抜けている間に、
「――いかんっ、天下の連中が迎撃態勢に入ってしまった……」
気配だけで、それを察知すると、
ゾメガは、奥歯をかみしめて冷や汗を流す。
「これほどのオーラを放つ化け物相手だと、天下ではクソの役にも立たんっ! 鼻息で殺されるだけじゃ……っ」
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