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4話 相変わらずぶっ壊れているヤマト(ヒミコ)。


 4話 相変わらずぶっ壊れているヤマト(ヒミコ)。

「全宮ルルと話したいことがあって立ち寄らせてもらった」

 そう言いながら、
 リライトは、チラと、『ヤマト』の方に視線を向けた。

 リライトの視線に気づいたヤマトは、
 ニパっと快活な笑顔を浮かべて、

「おひさしぶりぃ、リライト先生ぇ。元気してましたぁ?」

 などと、声をかけた。
 リライトは、意味深な間をおいてから、

「……本当に、ひさしぶりだな。5年~6年ぶりといったところか。ところで、どうやって『呪い』をといた?」

 そう声をかけると、

「ちょっと色々ありましてぇ」

「……その色々の詳細を聞いている」

「実は、とんでもない神様に出会いましてぇ。その神様から『ゴキのヤマトは女の姿の方がエロかわいくて良き』というお言葉をたまわり、結果、こうして、元の姿に戻った次第でありますぅ」

 彼女の言葉を、
 リライトは、まったく本気で受け止めず、

(相変わらず、頭の方はぶっ壊れているようだが……)

 彼女が意味不明なのは、今にはじまったことではないので、
 そこに関してはスルーするリライト。
 しかし、彼女のスペックは、スルーできない。

(……まずいな……順調に成長している……)

 リライトの額に冷や汗が浮かんだ。

(……『ヒミコ(ヤマト)』の年齢は、確か、まだ13歳ぐらいのはず……このまま問題なく素直に成長した場合……2~3年以内に、この天才は、私を超えるだろう……)

 ギリっと、無意識のうちに、奥歯をかみしめる。

(私より『ちょっと強くなる』という程度であれば、まだ問題はない。私は『クツグア』をもっているのだから……しかし、私の予想通りの成長をした場合……こいつは、私を置き去りにする……)

 『ヤマト(罪帝ヒミコ)』の才能はズバ抜けている。
 神がかっていると言ってもいい。
 間違いなくリライト以上の資質。

 ――単純な話、リライトが12~3歳の時より、
 今のヤマトは明らかに強いのである。

 単なる『超早熟』というのであれば問題は何もない。
 成長のピークが早くにきて、あとは緩やかになっていくだけの成長グラフなのであれば問題は何もないのだが、しかし、ヤマトは、そういうタイプではない。
 むしろ、『晩成なのではないか』とすら疑ってしまう。
 そのぐらい、彼女は、あまりにも才能に溢れすぎている。

(ヒミコが、全宮ロコについた理由……おそらく、全宮テラのコスモゾーンレリック『ハスター』を狙ってのこと……順調に成長したヒミコが、クツグアと同格である『ハスター』と契約した場合……おそらく……いや、間違いなく、私は、足元にも及ばなくなる……ハスターがヒミコの人間性を拒んでくれるとありがたいのだが……コスモゾーンレリックは愚直に強者を好むもの。ヒミコの『奇異な性格』を考慮して拒絶する可能性は薄い。所詮はアイテム。誰を『世界の王にすべきか』の『正確な判断』など出来ない……)

 別に、ヤマトは『ハスターを狙っている』というわけではない。
 ゲンの中に根付いた『ナイア』という化け物の指示に従っているだけ。

 ――だが、常識人であるリライトに、そんなことが分かるはずもない。
 だから、『納得のいく疑心暗鬼』のサンドバックになってしまう。

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