センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

37話 無限の地獄。


 37話 無限の地獄。

(命の壁は高く厚い。そう簡単にはこえられない)

「10000年積んだんだぞ? 50万回もループしたんだぞ? その俺に対して、二度と『簡単』なんて言葉を使うんじゃねぇ。その侮蔑は、俺という概念から、もっともほど遠い」

 ちなみに、この数千年の間に、センの心は何度か折れている。
 『いい加減にしてくれぇえええええええ!』と壊れたように叫んだ回数は数えきれない。
 しかし、そのたびに『それでも……』と、必死に歯を食いしばって、
 今日という日までたどり着いた修羅の閃光。

 ありえないレベルで、魂魄が成長しており、
 メンタル面も、だいぶ強化されている。

 ただでさえ、人間の限界を置き去りにしていた破格のメンタルが、
 この地獄の数千年で、さらに数段階上に引き上げられた。

 ――そこまでの領域に到って、しかし、まだ、


「……もぉおお! 勝てないぃ! うざいぃいいい! こんなに強くなったのに、なんでだよぉおおお! いい加減にしてくれぇえ! もうやだぁあああああ!」


 破格に鍛え上げられたメンタルが絶叫するほど、
 『オメガバスティオン化された神格』は異次元の強さを誇っていた。

 今のセンなら、『はじめて出会った時の、ロイガー・オメガバスティン』ならば余裕で殺せるのだが、『センと共に成長してしまったロイガー・オメガバスティン』は、センを普通に超えている。

「まじで、無限地獄じゃねぇか! 永遠に追いつけねぇよ! つぅか、俺と、こいつの差、ちょっと離されてねぇ?! ふざけんな、マジでぇええええええ!」

 救いなのは『いつでも、逃げることが可能』という点。
 それがなければ、普通に詰んでいた。

 スイッチをオフって、通常モードに切り替えると、
 ロイガー・オメガバスティンは消え去った。


 静かになった夜に独り、
 センは、空を見上げて、



「もう、辛いってぇ……」



 終わらない地獄の底でもがきつづける。
 なぜ、こんなに苦しみ続けなければいけないのか、
 と、毎日、毎日、自問自答。

 頑張って、頑張って、頑張って、
 けど、まったく報われない閉塞的な日々。

 ぶっ壊れて、歪んで、腐って、
 けれど、『それでも』と、必死になって叫び続けて、
 磨きぬいた魂魄の器。
 確かな輝きを放つこの器でも、
 命の壁の前では、ほとんど無力と言っても過言ではない。

 辛い、辛い、
 と嘆きながら、
 センは、重たい今日を積み重ねる。


 ★


 ――ここ数千年、
 ほとんど変わらない毎日を過ごしているセン。
 だが、『この日』は、少しだけ変化があった。

 最終日、オメガタワーから帰ってきた時のことだった。
 車から降りて、
 『さて、それじゃあ、銀の鍵を探そうか』
 と気合を入れなおしたところで、
 リムジンの運転手を務めていた女性『蛇久利(じゃくり) 芽奈(めな)』から、
 『二人きりで話がある』と声をかけられた。

 久剣家の分家で、カーストでは『一等』の地位にある『蛇久利家』の娘。
 年齢は20台中盤で、『高身長』と『芯の強い瞳』が特徴的。

 ブレイクスルーのきっかけを求めていたセンは、
 この、『これまでとは違う流れ』に対し、
 一抹の望みを抱きつつ、

「まあ、別にいいけど」

 と、了承してから、
 K5の面々を『銀の鍵捜索』に出させ、
 メナと向き合った。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品