センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

15話 嫌われ方が甘い。


 15話 嫌われ方が甘い。

「あまり時間をかけすぎるのはよろしくないな。俺は待たされるのが嫌いだ。軽んじられている気がしてイラつく。俺のことは、常に、最上位VIPとして扱うよう心掛けろ」

「ご安心を。30分以内に済ませます」

 そう言うと、
 黒木はスマホでどこかに電話しつつ、
 紅院たちと一緒に、この場を去っていった。

 紅院が最後にのこしていった『軽蔑するような目』が、センの脳に刻まれた。

 完全に一人になったところで、
 センは、泣きそうな顔になって、

「……よく頑張った、俺……痛みに耐えて、よく頑張った……感動した」

 テンプレで自分を慰めながら、
 自分の部屋へと戻る。

 ベッドに寝転んで、
 黙ったまま天を仰ぐ。

 泣きたくなったが、涙は我慢した。
 胸の奥がシクシクと軋む。

 そんなセンに、
 図虚空の中にいるヨグシャドーが、

(嫌われ方が足りないな。今の状況だと、経験値増加率は6000倍がいいところだ。話にならない。貴様のクズ役ぶりはコクとホップが足りない)

「あれだけ身を削ったってのに、まだ半分も嫌われる余地があるのかよ……あいつらの許容量、どうなってんだ? もしかして、あいつらって聖女なの?」

(貴様は、好かれるのも、嫌われるのも、いちいちハンパだ。根性が足りない。クズ男としての流儀がなっていない。だから、疑念を残す)

「俺で根性がないとなったら、この世に根性のあるやつなんていないと思うがねぇ」



 ★



 ――黒木たちがかえってから20分が経過したところで、
 ピンポーンと、チャイムがなった。

 センが、玄関をあけると、
 そこには、

「はじめまして。わたくし、『五画寺(ごかくじ)歩姫(あるき)』と申します」

 丁寧に頭を下げる。
 和装の黒髪美人。
 年齢は同じぐらいなのだが、
 二十歳以上のお姉さんに見える貫禄があった。

(……おぉ、見事な大和撫子だな。まるで、大和撫子という概念の擬人化のようだ……すげぇな……)

「中に入ってもよろしいでしょうか?」

 覚悟のきまった目でそう言う彼女に、
 センは、

「あ、はい。どうぞ」

 そう言いながら、中へと招き入れる。
 自分の部屋まで案内したところで、
 彼女をイスに座らせ、

「えっと……なんて聞いて、ここにきた感じ?」

 そう問いかけると、
 アルキは、
 感情を失ったような顔で、

「一流娼婦の真似事をするようにと仰せつかっております。わたくしは、その道のプロではありませんので、あなた様を満足させることはできないと思いますが――」

 と、そこまで聞いたところで、センは、

「あんたの顔を見ればわかる。えげつない覚悟を決めて、ここにきてくれたんだろうが……その覚悟を果たす必要はない」

「……どういう……意味でしょう?」

「あんたにやってほしいことは一つ。ここで、しばらく時間をつぶしてから、家に帰り、俺にムチャクチャされて穢されたと報告してもらいたい。それだけだ。あんたの評判に不名誉な傷が入ることになるが、我慢してもらいたい。申し訳ないとは思うが、こっちも、いろいろと、切羽詰まってギリギリなんだ。全人類の代わりに命を張って化け物と向き合っている俺に対する、せめても礼だと認識して、屈辱に耐えてもらいたい」

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