センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

43話 表出てかかってこい。


 43話 表出てかかってこい。

「ヒーローは、お前だ。センエース。俺は、その中の一つにすぎない」

「お、落ち着け、ヒーローっ! それは勘違いだ! お前だ! お前こそがヒーローだ!」

「いや、お前がヒーローだ」

「いやいや」

 と、無駄なラリーを数回続けた直後、
 ソルが、

「別に待つのは構わないのだが……しかし、その非生産的なラリーを無限に続けるのだけは勘弁してほしいのだけれど?」

 と、そんな言葉を投げかけてきた。

 センは、渋い顔で、

「すぐに終わらせるから、あと、ほんのちょっとだけ待ってくれ!」

 イライラを言葉にのせつつ、

「才藤。お前は俺より賢い。そして、俺よりはイケメンだ。背格好は似たようなもんだが、じゃっかん、お前の方が『身長が高い気』がする。つまり、お前の方が主人公にふさわしい。俺は、モブに戻る。あとは任せた」

「セン。お前はバカだ。そして、俺よりは不細工だ。背格好も運動神経もお前よりは俺の方が上。頭の出来にいたっては俺の方がはるかに上だ。お前は主人公にふさわしくない。基礎スペックだけでいえば、完全にモブだ」

「ナメとんのか、てめぇ。表出てかかってこい!」

 自分で言うのは別にいいが、
 他人に言われるとイラついてしまう、
 という、謎論理の中にいるセン。

 そんなセンに、才藤は、まっすぐな目で、

「けど、お前がヒーローだ」

 そう言いながら、
 才藤は、手を差し出した。
 まるで、バトンを繋ぐように。


「たくしたぞ」


 その言葉を最後に、
 才藤の体は、パラパラと粒子になって崩れていく。

 散らばった粒子たちは、
 迷いなく、
 センの中心へと注がれていく。

 才藤の想いが注ぎ込まれたセンの背中には、
 輝くような剣翼が顕現していた。

 その翼は、
 天童の翼と重なり合って、

 より強固で堅牢な覚悟の光となった。

「……ま、また、押し付けられた……」

 センは、天を仰いで、ボソっと、

「どいつもこいつも逃げやがって……どこかに『我こそは』と名乗りをあげる責任感の強い主人公はいないのか……」

 そんなグチをこぼしたところで、
 世界は何も変わらない。

 楽になることを求めても、
 いつだって、その先には何もない。

 知っている。
 わかっている。
 だから、
 というわけではないのは、確定的に明らかだけれど、
 センは、
 まっすぐに、ソルを睨みつけて、

「……てめぇの無敵バリアは、グリムのソレより、だいぶ堅そうだが……性質としては同じっぽい……なら……」

 そこで、センは、魔力とオーラをシッカリと練り上げていく。

「賢い手段は、そもそもとれねぇ。やるなら、徹底、脳筋スタイルでいかせてもらう。おかげさまで、出力は、多少あがったから、できない範囲ではなくなった気がしないでもない。知らんけどな」

 最後に、自由な言葉をつけたして、
 センは空間をかけぬける。

「閃拳っ!」

 まずは、全力で殴り掛かってみた。
 当然のように弾かれるセンの拳。

 無敵バリアの硬さを十分に味わってから、

「やっぱりな……見えるぞ……揺らいでいる呼吸が……」

 何度も繰り返してきた。
 だから、少しだけ見える。

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