センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

51話 俺がおかしいんじゃない。いつだって、俺だけが正常で、俺以外の全部がおかしいんだ。


 51話 俺がおかしいんじゃない。いつだって、俺だけが正常で、俺以外の全部がおかしいんだ。

「準備運動の段階で感謝はいらない。本番が終わってからもいらんけど」

「じゅんび……えっと、それって……もしかして……今、殺した二体が、この前のロイガーみたいに……強くなって復活する……ってこと?」

「ああ、たぶんな。知らんけど」

 センが返事をしたと同時、
 ツァールとイグの死体がグニョグニョと蠢きだす。

 当然のように復活したツァールとイグは、

「「ふぅ」」

 軽く呼吸を整えてから、

「さて」
「それでは」

「「本番を始めようか」」

 などと、ピッタリと息を合わせて、
 そんな言葉を放った。

「……もしかしたら、センエースエンジンとやらを搭載してくるかとビクビクしていたが……お前らは、そのパターンではないみたいだな」

 などと言いつつ、センは、ピョンピョンと、その場で軽くジャンプをして、体の軸を整える。

 そんなセンに、ツァールが、

「……貴様は、センエースエンジンを搭載した二体の神格と殺し合うつもりだったのか?」

 純粋な疑問を投げかけてきた。
 センは、間髪入れずに、

「もし、二体ともエンジンを搭載してくるようなら、いったん、銀の鍵で逃げるつもりだった。さすがにダルすぎるからな。負けるとは思わんけど……いや、うん……まあ、うん」

 軽く言葉を濁してから、
 『んん』と咳払いで場を整えて、

「もし、エンジンを搭載していないなら、二体同時に相手をしないと、鍛錬としては微妙。さあ、どうしたものか、と考えた上でのアレコレだ」

 と、自身の状況を軽く説明してから、
 センは、

「まあ、俺がどう思っているかなんかどうでもいい」

 サっと武を構えて、

「さあ、いくぞ。ツァール&イグ。殺してやる」

 抹殺宣言をかましてから、
 センは、時空を駆け抜ける。

 ――覚醒したツァールとイグは、どちらも、
 とんでもない強さだった。

 『同時に二体』という重荷が、なかなかしんどかったが、

(これならいける。十分に対処しきれるレベル。楽勝ではないが、絶望するレベルじゃない)

 ロイガーとウムルという二回の地獄を経て成長したセン。
 ツァールとイグの二体同時討伐という地獄も、
 余裕ではないが、普通にこなせるようになっていた。

(俺は強くなっている……そして、まだまだ強くなれる……っ)

 成長を感じている時のセンエースは止まらない。
 より高く、より遠く、より速く、より強く。

 センエースは止まらない。
 あふれる脳汁に溺れながら、
 センは、地獄の中で無限に舞い続ける。


「――龍閃崩拳」


 強大な魔力とオーラの塊となったセンの拳は、
 ツァールとイグの両方を飲み込んだ。

 完璧な一撃で、二体の神格を滅ぼしたセン。

 その背中を見て、紅院は、

「あなたは……おかしい……全部……」

 つい、素直な感想をこぼしてしまった。
 感謝を忘れて、『驚愕』だけに包まれる紅院。

 そんな彼女に対し、センは、最後に、


「俺がおかしいんじゃない。俺だけが正常で、俺以外の全部がおかしいんだ」

 狂人の戯言でしめくくった。

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