センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

43話 勝てなくはないけれど、ダルすぎてしんどい。


 43話 勝てなくはないけれど、ダルすぎてしんどい。

 ボクシングの試合では最初に互いのグローブをトンと合わせるが、
 あれと、だいたい、同じぐらいの感じの、
 ジャブというか、本当に挨拶。

 ――だったのだが、
 しかし、センから挨拶をいただいたロイガーの頭は、
 ボフッッ!!
 と、見事に炸裂して爆散した。


「……わー、死んだぁ……やっぱ、全然、強くなってねぇじゃん。何が『敵が強くなるスイッチ』だ。ふざけやがって」


 あまりにもアッサリと死亡したロイガー。


 その光景を見たトコは、
 呆けたように、口を開いて呆けるばかり。

「う、嘘……やろ……あの強大なGOOを……ワンパン……?」

 ロイガーがどれだけ強大な力を持つ化け物であるか、
 身をもって知っているトコは、
 とにかく、目の前の光景が信じられなくて、
 みっともなく動揺するしかない。

 そんなトコを尻目に、
 センは、

「これは、これで、ちょっとマズいなぁ……銀の鍵のストックにリミットがあるなら、できるだけ強い敵と戦って、効率的に経験値を稼ぎたいんだけど……」

 ぶつぶつと、自分の世界に浸っている。

 そんなセンに、最初に声をかけたのは、
 茶柱罪華だった。

「……そこの仮面の人。あなたは誰かにゃ? もしかして、神様かにゃ?」

 そんな問いかけを受けたセンは、
 茶柱に視線を向けて、

「アウターゴッド級の力をもっているのは事実だが、しかし、神様ではねぇよ。ただのどこにでもいる一般男子高校生だ。こんにちは」

 そんなセンのセリフを受けて、
 紅院が、渋い顔で、

「……セリフが錯綜しているわよ。アウターゴッド級の力を持つ時点で、一般人ではないでしょう」

「ハチャメチャな強さは手に入れたが、心と顔面偏差値はいつだって、モブのままなんだよ」

 などと、そんな、どうでもいい言葉を口にしていると、
 そこで、

「……ん?」

 ロイガーの死体が、
 ドクドクと強く脈打ちはじめた。


「……おっと、なるほど。『壊れたウムル』のパターンか。一度殺すと、強くなって復活、と」


 センが軽くジャンプをしながら、
 体の軸を整えていると、

 ロイガーの頭がグニャグニャと再生されていく。

「ブハァ……」

 軽く深呼吸をしてから、
 ギロリと、センをにらみつけるロイガー。


「……ウギ……ギギギ……ガァアアアアッッ!」


 理性ゼロな感じで奇声を上げると、
 そのまま、思考のないダイブでセンに殴り掛かってきた。

(……速ぇなっ)

 GOOの速度ではなかった。
 間違いなくアウターゴッドに匹敵する速さ。

 ギリギリのところで回避して、

「――閃拳――」

 カウンターで閃拳を決めていく。
 一応、クリティカルで入ったのだが、

「ちっ……生命力もバカ高いのかよ……処理するのに、時間と労力がかかりそうだなぁ……やだなぁ、タルいなぁ……」

 手合わせした感じ、
 『勝てない』とは思わなかった。

 かなりの『数値の暴力』を誇っている『壊れた敵』だが、
 しかし、センがその気になれば、普通に倒せるレベル。

 ただ、気を抜けば、持っていかれるため、
 高い集中力が必要になってくる。

(……こいつだけならまだしも、明日はウムルで、明後日はツァールとイグ……しんどぉ……それも、一周ならともかく、これから、ずっと……マジかぁ……)

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