センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

77話 自分自身に強制する、妄想の虚勢。


 77話 自分自身に強制する、妄想の虚勢。

 疲労がたまり、絶望感が募り、狂気に押しつぶされそうに……
 ――なればなるほど、センエースの魂魄は強く輝く。

 そういう特質を有しているから?
 違う。

 『そうでなければ押しつぶされてしまう』と『知っている』から。
 だから、全身全霊で『虚勢』を張る。
 自分自身に『嘘』をつきつける。
 『こんな時こそ、むしろ沸騰する自分』
 という妄想の虚勢を、自分自身に強制する。


 ――ずっと、そうやって生きてきた。
 『現時点における彼』の感覚では、数十年の間。

 実際のところは、数百億年。
 もっといえば、その何倍、何十倍。

 ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっとぉ!


 ――だからぁ!


「お前らは強いが、それがどうしたぁああ! 俺には勝てねぇ! 俺が積んできたキ〇ガイ地獄を! 俺の本気の孤高を! ナメるなよぉおおおおおお!」


 センは加速する。
 不条理を嫌いながら、
 しかし、自身はいつだって不合理の塊で在り続ける。

 理不尽な獣。
 凶悪な最強。

「この人間っ! 異常!!」

 センエースという概念を知ったヤイは、
 そのあまりの異常性に恐怖を覚えた。

 恐怖の権化であるアウターゴッドに恐怖を憶えさせる狂気。

 それが、センエース。
 自称、どこにでもいる普通の高校生。

「数字で上回るアウターゴッド三体の攻撃を全て回避している……どころか、的確に反撃を決めてくる……っ! ありえない! こんな化け物、存在するはずがない!」

 外なる神の恐怖を受け止めたセンは、
 ニィと黒くニヤついて、

「目の前にいるだろうが! 存在はしている! アウターゴッドが現実逃避とか、ダセェマネしてんじゃねぇ! アウターゴッドは、いつだって、常に、みんなの憧れで在り続けやがれ! それが、てめぇの、最低限レベルで抱えている大事な義務だ!」

 などと叫びながら、
 センは、ヤイの顔面に拳をたたきつけた。

 閃拳を叩き込むスキはなかった。
 左ジャブを、どうにか届かせただけ。

 それでも、クリーンヒットだったことは間違いない。
 魔力とオーラを込めていたので、ダメージも通っている。

 何より重要なことは、陣形が軽く乱れたこと。
 崩れたわけではない。
 ほんのり乱れただけ。
 しかし、それだけでも充分だった。

 センは、

「しゃあ、おらぁああっ!」

 豪快に叫びながら、
 ヤイの右隣数メートルの位置を常にキープしていたザリガーの背後に回ると、
 流れのまま、回し蹴りをぶち込んでいく。

「――うぐぅっ!!」

 またも、薄く乱れた陣形。
 コツコツと乱してきた輪の中心に食い込んだセンは、

「――閃拳っ!!」

 丁寧な正拳突きを叩き込む。
 状況が整った時の閃拳は強大。

「ぐぅっ!」

 狂気的な練度で磨き上げてきた拳が、
 ザリガーの後頭部に突き刺さる。

「美形はみんな死ねぇえ!!」

 などと、DQN全開なことを叫ぶセン。
 そんなセンの背後にまわり、
 首を獲ろうとしてくるギ。

 ヤイとザリガーに集中力を分散させている今のセンになら、
 致命の一撃を叩き込めると確信しての一手。

 ――だけれど、

「教科書通りの攻撃は、読みやすいんだよぉ!」


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