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43話 ちっぽけなコスモ。


 43話 ちっぽけなコスモ。

 ――不可能な幻想を、とびっきりの現実に変えてやる――

 覚悟の証を示したセン。

 常人では、あまりにもおそれおおすぎて、
 決して口には出来ない、異次元の大ボラ。

 だからこそ価値がある。
 だからこそ光が灯る。

 覚悟を示したヒーローの背中に、
 民衆の期待がそそがれる。

 率先して、最前線に立ち、
 『命の限り叫び続けてみせる』と宣言したバカ(ヒーロー)に、
 誰もが、自然に、オールインを決意した。


 説明も解説も必要なかった。
 この場にいる誰もが、自然と、
 目の前に立つヒーローの尊さを理解した。
 その『病的な高潔さ』を、
 その『常識的な理解を拒絶する気高さ』を、
 その『眩暈がするほど常軌を逸した献身』を、
 まるで、『分かり合えた』かのように、
 心と魂が、正確に受け止めた。

 ゆえに、彼・彼女たちは、
 もはや、センエース以外を求めない。

 以降、他の誰にも期待しない。
 以降、他の可能性を考慮しない。

 その場にいる全員が、
 たった一人のヒーローに、
 自分の全部をベットする。

 アウターゴッドを前に、一般人の彼・彼女たちができることなどない。
 ダメージを与えることも、盾になることも出来ない。

 しかし、彼らは生きている。
 感情を持つ知的生命。
 命を持つ、一つの魂。

 だから、『何もできない』というわけではない。
 彼・彼女たちは生きている。
 熱量(エネルギー)をもっている。
 GOOやアウターゴッドと比べれば、とても小さいけれど、
 しかし、それぞれが、間違いなく、
 命の輪郭を――ただ一つの『コスモ』をもっている。

 矮小で、脆弱で、無様で、みっともなくて、
 けれど、間違いなく『繰り返す』という機能を持っている円環。

 沸騰する細胞。
 『願い』がシルエットを持ち始める。
 『希望』が質量を持ち始める。

 この上なき『絶対的精神的支柱』に寄り添う魂魄の輪。


 とても、とても、とても、小さい意地。
 けれど、今日まで、必死になって繋がれてきた命の円。


 『ナメるなよ!』という声が、確かに聞こえた。
 それは、『人類という種』の叫び。

 ――その叫びを受けて、マイノグーラは、

「……小さい……けれど、『目に見えないほど』ではない」

 『人類の意地』を視認した。
 恐怖を抱くほどではない。
 けれど、その『小ささ』は、マイノグーラの意識に、間違いなく刻まれた。

 この場を支配しはじめた『限界を超えて舞う畏敬』が、
 『センの全身を包んでいるGOOたち』に注がれる。

 センエースという英雄の輝きを通して、
 『人類の畏敬と希望』が、『膨大なエネルギー』となって、
 『センエースの装備品』という形で、
 『この上ないヒーロー』に『より鮮明なシルエット』を与えていく。


 ――喉を枯らして叫び続けてきたウソが、
 今、あらためて、センエースの器になる。

 その様を見て、
 マイノグーラは、


「人類という『種』を『纏う』か……面白い命だ。それほどの器を持つ者はそうそういない。人類は脆弱だが、数と多様性だけは膨大。その全てを一身に背負えるだけの気概。形式上の虚構ではなく、実質的な質量とシルエットを持つ『王』の煌めき……試してみたいと素直に思える」


 そう言いながら、
 ゆったりと武を構える。


「神とは言え『個』でしかない私と、人とは言え『王』である貴様……どちらが上か、試してみるのも、暇つぶしとしては悪くない」


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