センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

37話 無に質量は生じない。


 37話 無に質量は生じない。

「実際のところ、『第二アルファ』も夢じゃねぇんだろうけど……これは、そういう意味じゃなく……今の俺に直結したリアルだから……『パチンと指を鳴らせば一旦はリセットされる』とか、そういうたぐいの話じゃないってことは重々理解できた」

 前提をならしていく。
 リアルとタイマンをはる覚悟を決める。

「わかりやすい話は大好きだ。俺は頭が悪いからな」

 忘れずに、軽い自虐もはさみつつ、

「俺の全部で止めてやる。簡単に砕けると思うな。マジの覚悟を決めた時の俺は、普段のサイコバージョンよりも、さらにウザいぞ」

 オーラを練り上げていく。
 とっくに限界を超えている。
 容量を突っ切って、
 さらなる自分と向き合っていく。

 深く、深く、自分と対話しつつ、
 センは、心の中で、

(ただの妄想でもいい)

 自分に語り掛ける。

(俺を壊してくれてもいい。クソったれな俺をつきつけてくれて構わない。だから、もう一度……俺に夢を見せてくれ)

 希望や願望ではない。
 奇跡を期待しているわけでもない。

(……『ソレ』を背負えるだけの器が……今の俺にはあるはずだ。今日の俺は、昨日の俺を絶対に超えている。そう言い切れるだけの日々を積み上げてきた。散々、狂ったような絶望を積んできた。何回も、何十回も、何百回も……)

 『銀の鍵』を乱舞させ、
 幾度となく、時空を旅してきた記憶を自身に刻み込む。


「俺は無能だが……『超えてきた壁』の『数』だけは余裕で自慢できる。絶対に誰にも負けねぇ。負けるわけがねぇ。――『量』でしかモノを語れないヤボな男だが……それでも……『魅せられる希少性』は『確かに存在する』と確信している。胸を張って言えるぜ。俺は『とびっきり』だって」

 グググっと、
 魂魄の奥が膨れ上がる。

「俺の才能レアリティは、間違いなく凡夫級だが、『頭のバグり方』だけは、確定でとびっきり。だから――」

 世界とつながる感覚。
 くだらない『妄想』が、
 今、





「――究極超神化プラチナム――」





 絶大な妄想力(厨二力)で、
 自分の鎖を引きちぎる。

 図虚空を自分の心臓に突き立てて、
 確定致死量の血液を噴出させる奇行。

 ただの『痛い妄想』では超えられない壁。
 たんなるお遊びではたどり着けない場所、
 マジでイカれた厨二さんにしか見えない風景。

 全身を包み込む白銀。
 高質化した血液が、無造作な深い輝きを、
 周囲のあちこちに放ちながら、
 センを包み込む。


「……ふぅ……」


 神々しい鎧に包まれたセン。
 膨れ上がる、神の力。

 それを見て、ヨグシャドーは、

「妄想を象(かたち)に変えてみせたか……」

 呆れ交じりに、そうつぶやいて、

「――もう二度と……『無』に『質量』は生じない。貴様は積み重ねてきたのだろう。妄想を具現化させるだけの絶望を。素晴らしい。心底からの称賛に値する」

 心からの言葉を贈る。

 本気のメッセージだと伝わってきた。
 だから、センも、真摯に、

「準備はできた。さあ、こいよ、ヨグシャドー。俺の全部で受け止めるから……遠慮せずに、ぶっ放してこい」


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