センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

24話 どっちがパチモノ?


 24話 どっちがパチモノ?

「……200億かけてスタートって……じゃあ、『そのレース』のゴールラインを割れる日は、いったい、いつになるんだよ」

「それが知りたくて、今も俺はもがいている……と言ったら嘘になる」

「嘘なんかい」

「嘘というか……まだ、その境地には達していないって感じかな。ゴールが見えてくれば、ゴールを求めてしまうだろうけど、今の俺は、スタート地点に立っただけ。だから、頭にあるのは、ゴールの切り方じゃなく、スタートの決め方だ」

「……」

「そうじゃないと前には進めない。どこがゴールかわからない超長距離レースで、最初からゴールを求めていたら、身がすくんで、最初の一歩すら踏み出せねぇ」

 などと、ペラペラおしゃべりをしてから、
 スーパーセンエースは、武を構えて、

「なんだってそう。最初の一歩だ。それさえ踏み出せれば、最悪、惰性でも前に進める。『惰性でやるならやめちまえ』って視点もあるが……けど、それは、少々極端だと俺は思うね。なんだっていいんだ、前にさえ進めているのなら。ゆっくりでも、非効率でも」

 そう言いながら、
 スーパーセンエースは、センに対して『組み手』を求めた。

 センの目にも見える速度の武で連打。
 ギリギリのところを攻めていくスーパーセンエース。

 高次の対話。
 お互いを『知るため』だけの作業。

「くっ……くぉおっ! しんどいな、クソがぁ!」

 本当に、ギリギリのラインなので、
 押し切られはしないが、
 しかし、だからこそ、もっともしんどいという事実がのしかかる。

 『耐えられるなら、耐えなければいけない』という心の義務に縛られる。

「パチモン……お前は、俺が『今までに見てきた、どのパチモン』よりも上質だ。お前よりも、『数値が高いだけのパチモン』なら、これまでに、何体か見てきたが……お前ほど、『芯のある武をもったパチモン』は他にいなかった」

 闘いの中で、スーパーセンエースは、
 ボソっと、



「……こうなってくると、あるいは、俺こそが、パチモノであるという可能性も出てきたな……」



 そうつぶやいた。
 その言葉を受けて、
 センは、

「……聞かせろよ、スーパーセンエース。……もし、俺がオリジナルで、お前こそがパチモンだった場合……お前はどうする?」

 その問いかけに対し、
 スーパーセンエースは、
 ニっと笑って、



「三千世界の鴉を殺し、嫁と昼まで寝て過ごすさ」



 などと、
 解釈に苦しむ言葉を残した。

 センは、

「意味がわからん」

 と、素直な本音を口にしつつ、
 スーパーセンエースの連打をさばいていく。

 その途中で、
 スーパーセンエースが、

「仮に、俺がパチモンだったとしても……」

 そう言いながら、
 全身に強大なオーラをためて、

「それでも……」

 グググっと、

「……いや、だからこそ叫べる何かも……きっとあるんだろう」

 大きく膨らんでいく。

「俺の全部を見せてやるよ……とくと心に刻み込め」


 またたいて、輝く。
 命の華が萌ゆる。

 そして、



「――ヒーロー見参――」



 スーパーセンエースは、宣言してみせた。
 英雄の証明。
 命の最果てに届いた王の真髄。
 ここから先、スーパーセンエースはもっと高く飛ぶ。

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