センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

10話 俺は飛べる……飛べるかんねっ。


 10話 俺は飛べる……飛べるかんねっ。

「これが……オメガレベル6000の壁を超えた、究極完全なる俺の姿だ!」

 叫んでから、
 腹の底に力を込めて、

「はぁあああああっっ!!」


 全身の魔力とオーラを、これでもかと練り上げていく。
 研ぎ澄まされていく。
 集中力が一点に収束。
 血走った目で、世界をにらみつける。

 全身がビリビリと痙攣している。
 体中の気血が沸いている。


 ――それは、事実……なのだけれど、



「……さっきから、魔力とオーラを練り上げているだけじゃないか」



 アダムの言葉通り、
 センは、いっこうに、次のステージに進むことなく、
 ただ、ただ、『オメガレベル6000』の範囲内で、
 出力を限界スレスレまで捻出しているだけにすぎなかった。

「あわてるなよ、アダム。ここからだ……お前の言う通り、どうせ、俺は覚醒する……俺も、ちょっとは、俺に詳しいんだ。俺はヤバい。何がどうとは言えないが、基本的に、俺は『ビッグになることが決まっている』……そんな気がしてならない。さあ、驚け。そして、喝采するがいい。これが……命の最果てだ……」

 そう言いながら、
 さらに出力をあげようとするが、
 すでに、『現在の限界』まで出力を上げ切ってしまっているので、
 特に大きな変化はない。

 二秒……五秒……十秒……と、
 特に何でもない時間が過ぎていき、

 十五秒が経過したところで、
 さすがに、アダムが、

「まだか?」

 と、冷めた目で問いかけると、
 センは、

「もちつけ! これだから、早漏はイクナイ! 心配しなくとも、ガイアが『もっと輝け』と、俺にささやいている! 俺は飛べる! 飛べるかんね!」

 普通に焦りながら、
 必死になって、自分の扉をこじあけようと、
 オーラと魔力に『ブラックな無茶ぶり』を要求し続けているが、
 しかし、何も変化は起きない。

 いや、変化がなかったわけではない。
 全力で、気力を練り上げすぎて、
 ただただ、普通に疲れてきた。

 ゆえに、ついには、

「……ぶはぁっ……はぁ……はぁ……はぁ……やばぁ……しんどぉぉ……」

 出力を上げるのをやめて、
 フラットな状態にまで戻るセン。

 そんなセンを、冷めた目で見るアダム。

「……」

 その目が、あまりに冷たかったため、
 センは、普通に顔を赤くしながら、
 全部をごまかすため、無駄に大声で、

「そんな目で見るんじゃねぇ! 人間、調子が悪い時だってあるだろう! 今日は、その……『調子の悪さ』がエグい日だったんだよ! いつもだったら、いけたんだ! そうさ、いけるに決まっているだろう! 俺だぞ?! いけないわけがないんだ! でも、今日は、ちょっと熱があるし、お腹も痛いし、頭痛も痛いし、火事が燃えているし、危険が危ないし……」

 などと、しょうもない言い訳をしはじめたセンに、
 アダムは、

「これが最後のチャンスだ。覚醒するなら、今のうち。もう時間は与えない。本来、『積み技』を重ねるには、そのための前提を積まなければいけない。これまで、貴様に猶予をやったのは、『どうせ、妨害しても、それを糧にして、より鬱陶しく覚醒するだけだろう』と思ったから。しかし、本当に『今のまま』で終わるだけのクソムシなのであれば……」



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