センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

34話 いぇい、いぇい、きゃっほー。


 34話 いぇい、いぇい、きゃっほー。

 ――その後、実際、『役所』にいってみて、
 詳しく話を聞いたところ、
 第一アルファに帰れるのは、
 はやくて、二か月後とのこと。

「……いや、長ぇな……」

 右手で頭を抱えてタメ息をつくセン。

「どうにか、もっとはやく帰れないすか?」

 尋ねてみると、

「第一アルファにゲートを開くとなると、相当のエネルギーを使うからねぇ。他の世界はそうでもないんだけど、第一アルファは特別だから……そうポンポンと開くことは出来ないよ」

「第一アルファって、何がそんなに特別なんすかね? スペックが最高とは聞いたんすけど、それ以外は何も教えてくれなくて」

「時間がズレているんだよ。世界と世界の時間というのは、ズレているのが基本なんだけど、誤差であることが大半。しかし、第一アルファは、かなりズレている。そのズレによって生じる波動の緩衝(かんしょう)に、かなりの労力を必要とするんだ。この辺の仕組みであったり、手順であったり、必要なマジックアイテムの詳細であったりは、もちろん、教えられない。超々々機密事項だ」

「……ほう、ちなみに、ズレってのはどのぐらい? 例えば、こっちでの一年は、第一アルファだと一日、みたいな、そんな感じ?」

「今の時期だと、そこまではズレないよ。特定の周期によっては、それ以上のズレも起こり得るのが、第一アルファの厄介なところではあるけれど、今の時期だと……まあ、数時間程度の差かな」

「……なるほど」

 返事をしながら、センは、心の中で、

(……やばいな……二か月後となると、帰ったころには、銀の鍵が、確定で消えている……)

 ちなみに、現状『銀の鍵』は手元にない。
 当然、ここにくるまでは、ふところに所持していたのだが、
 気づけば、なくなっていた。

 図虚空も銀の鍵もない、裸の状態。
 それが、今のセンエース。

(……どうする……)

 と、悩んでいると、
 そこで、役所の人が、

「すぐに帰れる方法もなくはないけれど……」

 と、言い出したため、
 センは、前のめりになって、

「その方法とは?!」

 尋ねると、
 役所の人は、ニコっと微笑んで、

「300億エネほど払っていただければ、すぐにでもゲートを開かせていただきますよ」

 などと、そんなことを口にした。

「……さ、300……億……」

 『単位』もつけて言われたので、
 『ジンバブエドル的な変換』が出来る特殊な数字でないことも確定している。
 直球の、クソ大金。

 『200000エネ』が『一か月分の生活費』であることから、
 『30000000000エネ』の価値が、すぐに頭の中で計算できた。

(……ふ、ふざけやがって……)

 絶句するセンの横から、
 黒木が、

「ちなみに、普通、それだけ稼ぐのに、どれだけの時間がかかりますか?」

「一般人の人生100回分ぐらいなので……まあ、1万年ほどあれば、どうにか……」

 その発言を受けて、センは、

「わーい、二か月が1万年に短縮だー、うれしー、いぇい、いぇい、いぇーい、きゃっほー」

 と、棒読みで言い捨てる。
 その目は、完全に死んでいた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品