『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

100話 救いはこない。


 100話 救いはこない。

 サウナルームに入ったセンの体を、
 重たい熱が包み込む。

 さっそく噴き出した汗は過剰な量で、
 あきらかに、自律神経の乱れが原因だった。

 『真っ赤になっている顔』、
 その『本当の理由』を隠せるサウナは、
 今のセンにとって、ド直球の救いだった。


(……無様だ……)


 重量級の熱気が舞い散る。
 そんな中で、センは、
 『自身のみっともなさ』だけを、
 いつまでも、いつまでも、
 無様に、数え続ける。

(美少女から青年誌的な接待を受けてご満悦か……どんだけダサけりゃ気がすむんだよ……)

 あえて、『自分の状況を言葉で整える』ことで、
 逆に、『自身のダサさ』から距離を取ろうとしている。

 視点を俯瞰にすることで感情のコントロールを謀ろうとして、
 しかし、極度の共感性羞恥が働いてしまうので、
 結局、体軸が揺らいで、大暴投になってしまう。

 グラングランに揺らぐ自意識。
 拗(こじ)らせ散らかしたモンスター童貞の実態。


(……余(よ)は、『こいつ(自分の感情)』をどうしたいのだ……)


 などと、心の中で、無意味にテンプレをぶちこんでみるものの、
 決して、うまくはハマってすらおらず、
 その失態っぷりから、また『強めの情けなさ』に包まれる。

 マイナスのスパイラルは、いつだって、
 なぜか『ゼンマイの出来』が非常に秀逸なので、
 動き出してしまうと、少量のエネルギーでも、
 グワングワンに回り続ける。

「……誰か、助けて……」

 ヒーローが言ってはいけないセリフを口にするセン。

 ――と、その時、
 ドアが開いた。

 当たり前のように、サウナの中に入ってきたのは、
 『エッジのきいた水着』に身を包む、緑色のボンバーマン。

「きゃー、変態! ノゾキ魔! チカン! エッチ!」

 入ってくるなり、
 そんなことを叫ぶサイコパスに、
 センは、呆れ顔で、

「……救いを求めたら、ド級の悪魔がきた……俺の人生、常時ベリーハードがすぎる……」

 力なくそうつぶやく。

 『サイコパス悪魔』――茶柱罪華は、

「クッソあっついにゃぁ……」

 などとつぶやきながら、
 センの横にストンと腰をおとす。
 ギリギリ肩が触れる距離。

 反射的に距離を取ったセン。
 しかし、その距離はすぐに詰められる。

 『逃げても無意味だろう』と悟ったセンは、
 仕方なく、その場で石になった。

 そんなセンを横目に、
 茶柱は、どこまでもマイペースに、

「というわけで始まりました、先に出た方が相手にキスをするチキンレース! ドンドンパフパフ!」

「そのチキンレースを誰とやっているかは知らんが……とりあえず、少し、静かにしてもらえる? お前と無関係極まりない一般客である俺が、大変迷惑しているんだよ」

「おやおや、ツミカさんとの勝負に背を向けるとは、もしかして、ビビっているのかにゃ? ツミカさんが怖いのかにゃ?」

「ナメんなよ、怖いに決まってんだろ。お前にビビらないヤツはそうそういねぇ。『歴史に名を残すレベルの狂人』でも、お前と対峙したら、普通に裸足で逃げ出すだろうぜ。お前はヤバすぎる。サイコとか、パスとか、そういう次元じゃねぇ。お前はもっと遠いところにいる。もはや、影すら見えねぇ」

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