『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

90話 俺はヒーローじゃない。勘違いしないでよねっ。

 90話 俺はヒーローじゃない。勘違いしないでよねっ。

「私を殺せば、問題は解決する」

「それは、解決したとは言わねぇ。問題を放棄しただけだ」

「かもしれない!! けど!! 世界は救われるでしょ!!! 言うまでもないことを言わせないでよ!!!」

 ついには、ブチ切れた紅院。
 どこまでも頑ななセンに対し、
 怒りが爆発した。

「私だって死にたくない! けど、他に方法ないんだから、さっさと殺してよ! この状況だと、それ以外ないでしょ! もう、ほんと、いい加減にしてほしい! どうせ、死ぬのに、ダラダラと先延ばしにされて、めちゃくちゃ辛いの! 本当に、本当に、本当に! どうせ死ぬなら、『苦しむ時間』は、出来るだけ短くしたいって、どうして、そういう気持ちがわからないの?! あなたの自己満足に、私はどこまで付き合わないといけないの?!」

 感情の暴走。
 目一杯の本音と、
 ほんの少しの嘘を混ぜて、
 センに決断を迫る。

「世界を救って! 私は恨まないから! お願いだから! ヒーローになってよ!」

 圧倒的な圧力でセンに詰め寄る紅院に、
 センは、至極フラットな顔で、

「俺はヒーローじゃない。あと、お前に『恨まれるか否か』を気にするほど、俺は繊細じゃない。……そして、なにより、大前提として、」

 そこで、センは、強い視線で、紅院の目を睨みつけ、



「――『救う価値のない世界』を救っても意味がねぇ」



「……っ?」

「紅院美麗。お前は、これまで、この世界のために、『弱い命』のために、必死こいて頑張ってきたんだろ? どんなに苦しくとも、どんなに怖くとも、毎晩、毎晩、化け物どもと戦ってきたんだろ? てめぇだって『弱い命』の一つなのに、痛みを我慢して歯を食いしばってきたんだろう?」

「……」

「そんなお前が『生贄にならないと救われない世界』に価値はない。そんなクソみたいな世界は滅んでしまえばいい」

「……頭、おかしいんじゃない……なに、その考え方……意味がわからない……」

「別に理解を求めちゃいないが……しかし、そんなに難しい話か?」

 そう言いながら、
 センはストレッチを始めた。

 その様子を受けて、紅院は、

「……な、なにをしているの?」

「召喚される前にどうにかする方法を必死になって考えてみたが、現状で、それを成すのは無理くさい。もしかしたら、何か『スマートな手立て』もあるのかもしれないが……あいにく、俺は凡人なんでな。革新的なアイディアとは無縁。――となれば、召喚されたアウターゴッドの殺し方を考えた方が、まだ建設的だ」

「……ムリに……決まっている……」

「ああ、俺もそう思うよ。さすがに厳しいだろうなぁ……なんか弱点でもあってくれると助かるんだが……」

 などと言いながら、
 センは、図虚空に対し、

「おい、図虚空。なんか方法ねぇか? 俺の命を全部使うとかでもいいから、何か、対抗策的なの」

「――それはお前が考えることだ、センエース」

「……うわぁ、このSiri使えねぇ……」

 などと嘆くセンに対し、
 紅院が、イライラした顔で、

「じっ、自分の命は全消費してもよくて、他人の命はダメって、どういう了見?!」

 と、ブチギレ散らかしてきた彼女に、
 センは、シレっと、

「あれ? 知らなかった? 俺は自己中の権化なんだよ。『自分の意見だけが世界の中心』をモットーに、人生をやらせてもらっている」


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