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幕間「ヒーロー見参」

 幕間「ヒーロー見参」


 強い力を「創るだけ」なら難しくなかった。
 「そうあれ」と命じるだけでよかった。
 しかし、世界に「全てを包み込む光ヒーロー」を与えることは出来なかった。
 どれだけ強固に「実行」を強制しても、
 世界が「異なる循環ゼノリカ」を得ることはなかった。

 「明日を切り開く光命の希望」を求めると、
 「相当の覚悟」を積む必要があった。
 「輝く明日」は遠かった。

 「ヒーローの誕生」だけは「願う」ことしかできなかった。

 そして、その願いは、ことごとく打ち砕かれてきた。

 「強い力」をはき違えるバカばかりが量産されては、
 何も残さずに滅びていった。


 それでも、「彼」は必死になって願い続けた。

 「全ての絶望を絶望させるヒーロー」を求め続けた。

 そのための覚悟を示し続けた。
 自分に対して、多くのルールを課した。
 多くの縛りをもってして、
 夢の実現を求めた。

 ある日、そんな「彼」の「覚悟」に名前をつけた者がいた。
 「名づけ主」に「そういう意図」があったわけではないが、
 結果としては同じ。

 「名づけ主」の「母の名前」が込められた覚悟の悲鳴。
 アリア・ギアス。

 「彼」はその名前を大層気に入った。
 「愛する」に値する「名前(メッセージ)」だと受け取った。
 だから、「彼」は「多くの意味」を、アリア・ギアスに与えた。

 その結果、アリア・ギアスという概念は加速する。
 「願いを実現する唯一の手段」にまで昇華する。
 「球を七つ集める」と「願い」が叶う。
 根本的には同じシステム。
 ――アリア・ギアスを、より正確に表現するなら、
 「流れ」は逆になるけれど。

 「徐々に願いが叶っていく」かわりに「球を集め続けなければいけない」。
 願いの質に応じて、集めなければいけない球の数が変わる。

 積んだ覚悟が、未来を創る。

 「彼」は積んだ。
 多くを積んだ。
 7個といわず、10個、100個、1000個と、集め続けた。

 その結果、生まれた。
 たった一つの希望。

 100回失敗したなら、
 1000回挑戦してやる。
 1000回挑戦してもだめだったら?
 その時は、当たり前のように、
 1001回目に挑戦してやる。

 全ての覚悟と想いを背負い、
 その希望は産声を上げた。

 ヒーロー見参。
 それは、ただの言葉じゃない。
 覚悟の叫び。

 「無限の希望」を「背負ってみせる」という、
 狂気の宣言。

 ――閃光のアリア・ギアス。

 ヒーローは「ヒーローとして創られた」わけじゃない。
 「ちっぽけな命のカケラ」として生まれてきたからこそ、
 ヒーローはヒーローになりうる。


 多くの想いを背負って生まれた「たった一つの希望」は、
 折れることなく勇気を叫び続けてきた。

 「そうあれ」と命じられたからじゃない。

 「そうあってほしい」という願いに、
 ただ「全力で応え続けてきた」だけ。



「俺より強い程度の雑魚に、俺は負けない。バッドエンドをリアルだと思い込む、その勘違いごと殺してやるよ」



 だから、今日も、世界は、
 「誰もが望んだハッピーエンド」に近づいていく。
 一歩ずつ、少しずつ、
 その歩みは「のろい」かもしれないけれど、
 それでも「その大いなる希望」は、
 すべてを理解した上で、


 「ヒーロー見参」と謳い続ける。


 命の華が萌(も)ゆる。
 月夜に照らされ、眩(まばゆ)く光る。
 世界がソワソワしだす。

「もしかしたら、変われるかもしれない」


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