『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

最終回 人類史上、類を見ない、斬新なオチ。

 最終回 人類史上、類を見ない、斬新なオチ。

「お前は、間違いなく頑張ってきた。この俺すら超えてしまった、ハンパじゃなくスゴい男……なんだが……しかし、ここで終わるなら、他の主人公たちと大差ない」

「……ぅ……ぅ……」

 センの頭の中が、どんどん白くなっていく。
 すべてが溶けていく。
 体が冷たくなっていく。
 命の終わりを、明確に感じる。

 そんな絶対的絶望の底で、
 しかし、センは、

(――何か――)

 終わらない闇の中で、
 必死になって、


(――考えろ――何か――なにか――)


 突破口を見つけようともがく。

 力も、心も、アイテムも、異空間も、繋がりも、
 記憶も、可能性も、希望も、未来も、夢も、
 全て、全て、全て失って、

 それでも、
 センは、

「――まだ……だ……」

 『勇気』を叫び続ける。


「まだ……終わらない……」


 ふりしぼりながら、
 残った全てをかき集めて、



「終わって……やらねぇ……」



 覚悟を、
 謳い続ける。

「……絶対に……っっ!!」

 その瞳に、陰(かげ)は微塵もない。
 とても『存在値1』とは思えない覇気。


 そんなセンの姿を目の当たりにしたオメガは、
 ニっと太陽のように微笑んで、



「――それでいい――」



 そうつぶやき、
 オメガは、
 センの心臓を、

 グチャっと、
 握りつぶした。





 ★





「――はっ!!」


 目が覚めた時、
 センは、ベッドの上だった。

 『ここ』は、彼――『高校一年生・閃壱番』が『生まれ育った実家』の自室。
 決して高級品ではないが、ぬくぬくと温かいベッド。
 『理不尽な絶望』と向き合う必要などない、
 親や社会によって守られた世界。

 『いつも』と何も変わらない、
 穏やかな、『平日』の朝。

 柔らかな太陽の光が、
 窓の外から降り注ぐ。
 どこまでも平和な、日本の朝。


「……はぁ……はぁ……」


 反射的に、自分の胸部を確かめるセン。

 当然の話だが、
 別に、穴など開いていない。

 センの心臓は、
 今も、トクトクと律儀に、
 全身へ血液を回している。

 『一般高校生である閃壱番』の『胸部』が、
 『神のようなバケモノ』によって、
 凄惨かつ無残に『貫かれる』など、
 常識的に考えて、あり得るはずがない

 チチチっと、スズメの鳴き声が聞こえた。
 どこまでも静かで、優しい朝だった。


「……夢……」


 寝汗でベットリしている両手を見つめながら、
 ボソっとつぶやくセン。

 『えげつない勢いで殺される夢』を見ていた……
 ような気がするが、しかし、

(……どんな夢だったっけ……)

 時間が経つにつれて、
 『夢の記憶』は、どんどん薄らいでいく。
 それは、きっと、誰にでもある経験。
 むしろ『夢の記憶を、いつまでも意識上に保管し続けておく方』が難しい。

 夢の記憶を失っていくのは、人間にとって、至極当たり前の話。
 何もおかしくはない。
 『高校一年生・閃壱番』の『日常』に『おかしな点』は一つもない。

 ゆえに、二分も経った頃には、


(……なんも、思い出せねぇ……なんか……マンガみたいに闘っていたような気はする……すっげぇ、しんどかったような気がする……メチャメチャ大変で、苦しくて……けど、なんか……楽しかったような気も……しなくはない……)


 もはや、『そんな気がする』という程度にしか思い出せなくなっていた。
 詳細な記憶は完全に失った。

 だから、最後に残ったのは、

(夢か……全部……そうか……まあ、だよな……)

 そんな『何にもならない納得』だけ。


 ――こうして、センエースの大冒険は幕を閉じた。
 なんてことはない。
 すべては、うたかたの夢だったのだ。



【後書き】
?「なんというドンデン返し!
  まさかの夢オチ!
  しかし、これならば納得!
  すべての伏線は、『夢だった』の一言で万事解決!

  結果、主人公生存の完璧なハッピーエンドで、大・団・円!」

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