センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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64話 今後の展開。

 64話 今後の展開。

「……あのガキ、そんなに強かったのか? 確かに、基礎はしっかりしていそうだったが……とくに『それ以上のヤベェ感じ』はしなかったんだが」

「うまいこと隠していましたからね。僕だって、彼の底が見えたわけではありませんよ。ただ、触れてみれば、わかります。厚みの違い……奥行きの違い……」

「わけわかんねぇ。抽象的にしゃべんな、頭わりぃな」

「かなり具体的に表現しているのですが……まあ、この辺の感覚を、言語だけで共有するのは不可能ですから、仕方ありませんね」

 やれやれ、とでも言いたげにタメ息をついてから、
 チャバスチャンは、

「とりあえず、彼の暗殺等の依頼は、絶対に受けないようにしてください。あと、ここ最近、巷(ちまた)で、色々と、おかしなことが起きていますが、今後は、その辺の調査系の依頼も、全て断るようにしてください」

「なんで、俺が、お前の命令を聞かなきゃいけねぇんだ。寝言でも、俺の前では言うんじゃねぇ。イラっとして、うっかり殺しそうになるから」

「命令ではなく、お願いです。認めたくないですが、あなたは、私の同僚。『あなたが大きな地雷を踏んだ時は、隣にいる私も一緒に吹き飛ぶ』ということを、まずは理解していただきたい」

 真剣な顔で、そんなことを言われて、
 だから、アプソロも、少しだけ真剣な顔で、

「……別に、俺は、もともと、上からの依頼をまじめにこなすタイプじゃねぇし、探偵業務は不得手だから、調査系の依頼が、俺にくることはねぇよ。アホのブラツクーロでも、さすがに、その辺の事情ぐらいはわかっているだろ」

「今後の展開次第では、人海戦術の人数合わせとして、私たちが利用される可能性が大いにあります。その際には、間違いなく断ってください、と言っているのです。絶対に、傍観者――中立の立場を貫くこと。それが、『今後の展開』を生き残るコツだと私は思います」

「……『今後の展開』ってなんだよ。これから、何か起きるのか?」

「間違いなく起こりますね。――あの『どんな時でも泰然としている全宮ルル』が、焦って露骨な根回しに動いている……という時点で、何か起こるんだろうなぁ、とは思っていましたが、あの少年との手合わせで確信しました」

「……」

「もしかしたら、ザコーさんは、その辺の異変に気づいたから、逃げ出したのかもしれませんね。一年前の段階では、まだ、その兆候はなかったですが、ザコーさんは、裏で色々と動いていたようですので、事前に、何か察知できたのかも」

 ザコーは、自身が『エイボンの書を探している』ということを、
 誰にも言ってはいないが、
 しかし、同じ組織のメンバーともなれば、
 ザコーが『何かを求めていた』ということぐらいは気づける。

「ブラツクーロさんは、ガチンコのおバカさんだから、『その時』がきたら、上からていよく丸め込まれて、いいように使われるでしょう」

 ブラツクーロの『頭の悪さ』は、

 『そこらのヤンキー』のように、
 『何も考えていない』という感じの『カラっぽ系』ではなく、

 『ちゃんと時間をかけて勉強しているのに平均点が取れない』というタイプの悲惨なヤバさ。

 真正面からの肉弾戦では、
 ゴキの中でも最強格だし、
 性格的にも、ゴキの中では実直でマジメな方だが、
 『根本的な知性』の点では、決定的に劣っている。


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