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60話 まいりましたぁ!

 60話 まいりましたぁ!

「ところで、そろそろ終わりにしません? ちょっと疲れてきました。運動するのは嫌いなんですよね」

「まだ、ウォーミングアップすら始まっていないのに、なに言ってんだよ」

「え?! 『ウォーミングアップすらはじまっていない』って……じゃあ、これ、今、なにやっているんですか?」

「映画でいうところの予告編部分って感じかな。ちなみに、本編の冒頭がウォーミングアップね」

「ずいぶんと気合の入ったプロモーションですね。予告編だけでおなかいっぱいですよ」

「それじゃあ、そろそろ、本編を開始しようか」

 そう言うと、
 アモンは、一段階ギアを上げた。

 空間を駆け抜けて、
 チャバスチャンとの距離を翻弄する。

(尋常ではないキレ……まだ、アイドリングの段階といった感じなのに、一つ一つが、ズシンと重く響く)

 アモンの言葉はハッタリではなかった。
 アモンの武は、徐々に『広がり』と『奥行き』を見せてくる。

 『パラメータの数値』という観点で言えば、
 アモンとチャバスチャンは大差ない。

 けれど、戦闘力には、決定的な開きがあった。
 チャバスチャンは2Dで、
 アモンは3D。
 二人の間には『次元の違う格差』があった。

(こ、こんな強さが……)

 押し込まれていく。
 ついていけなくなる。

(も、もしかしたら、このガキ……完全院リライトより強いんじゃ……)

 『実際のところどうか』はわからない。
 しかし、そう感じさせるだけの『深み』が、
 アモンの武には刻まれている。

(全宮ルルに、いいように使われるのは不愉快だが……しかし、今回に関して言えば、心底から感謝する。このガキの事を教えてくれて助かった。もし、なにも知らずに『このガキの暗殺』みたいな依頼を受けていたら、目もあてられなかった……)

 ゴキへの依頼で最も多いのは暗殺系。

 一度受けてしまえば、相手が想像以上の強敵だったとしても、
 『殺しきるまで引けない』――というのが、暗黙のルール。

 『絶対にひいてはいけない』というワケではない。
 その辺は『プライド』の問題。

 ただ、スーパーカリスマアウトサイダーズにとって、
 『プライド』は、命の次に大事な看板。
 そう簡単には捨てられない。


「さあ、もう一段階、上げていくよ。この程度で息切れはしないでよね」


 そう言いながら、アモンは、
 踏み込み足を加速させて、
 チャバスチャンの腹部めがけて、
 高速の拳をぶち込んだ。

 ――この程度ならば、よけられるだろう。

 そう思っていたのだが、

「ぶっはぁっっ!!」

 チャバスチャンは、不自然なほど、豪快に吹っ飛んで、



「ま、まいりましたぁ!」



 と、明確な降参宣言をしつつ、

「ぅ……がくっ」

 わかりやすくオーバーに、
 『気を失ってしまいました』アピールをかましていく。

 ぴくりとも動かなくなったチャバスチャンを尻目に、
 アモンはボソっと、

「……ぃ、いや、速度は上げたけど、魔力もオーラも、さほど込めていないから、こんなんで、気絶するワケないじゃん……」

「……」

「ウザいって。起きてよ」

「……」

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