『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

87話 絶図。

 87話 絶図。

「速く、重くなったけれど、剣のさばき方がお粗末になっているな! いくら加速したところで、鋭さを失ってしまったら意味がない」

「おっしゃるとおりだぜ。そこが今後の課題! 俺は、まだまだ、こいつに慣れきれてねぇ! 俺の道はまだまだ半ば! 最強は程遠い!」


 豪速と高火力を手に入れたわけだが、
 しかし、そのかわり、
 繊細な『剣の技巧』が低下してしまった。


「だが、経験不足をカバーするモードもある! 時限式かつ精神力をゴッソリ削るという諸刃の剣! 俺のとっておき! 俺の本気! 俺の全部を見せてやる!」

 そう叫んでから、
 すぅと息を吸い、

「――ひらけ、激昂迅雷モードっっ!!」

 時限強化のシステムを用いて、
 ステータスを大幅に引き上げ、

「細(こま)かな手加減は出来ないが、安心しな! 努力ポイントで『不殺の拳』を積んだから、俺に殺意がなければ、オーバーキルダメージでもHPは1残る!」

 その宣言に対し、
 ケムスは、

(努力ポイント?)

 と、軽く疑問に思ったが、
 しかし、そんなちょっとした疑問なんかよりも、
 ゲンの『暴力的な圧力』への『対処』の方が優先順位は遥かに高い。

(――信じられないほど圧力が増した……尋常ではないバフ……)

 迅速に、『堅(けん)の構え』をとるケムス。
 ゲンの動きに注意をこらし、
 どんな攻撃が来ても受け流せるよう、
 防御に集中する。

 そんなケムスの様子を見て、
 ゲンは、

「俺の全力を『対処できる』なんて思うなよ! 俺の『とっておき』のサイコパスレベルは次元が違うんだ!!」

 そう宣言すると、
 そのまま、ゲンは、
 心に、ガツンと気合を入れる!

 真剣卍を地面に突き刺し、
 奥歯をかみしめ、
 心を押さえつけ、
 魂の制止にツバを吐き、

 全力で叫ぶ!!


「サイコッッ、ジョォオカァアアアアアアアアアアアアアッツ!!」


 宣言した瞬間、
 頭の中が暴風で満たされた。

 襲い来る『エゲつない自律神経系の症状』を全て受け入れ、
 ゲンは、
 極めて自由な右の拳を、
 ギュウっと力強く握りしめ、


「――絶図雷幻(ぜっとらいげん)――」


 『幻拳』をベースにした派生技を放った。

 暴走する『情動』と『神経』。
 その二つと向き合って、
 ラリった暴走機関車となる特攻型のグリムアーツ。

 後先考えないブリッツ(電撃的猛攻撃)。

 体力、魔力、オーラ、精神力、
 全ての『陰陽(バランス)』を一切無視した、
 頭の悪い全身全霊。


 ――絶図雷幻は、別に、小難しい技じゃない。
   ただ、右ストレートでぶっとばす。
   まっすぐいってぶっとばす。
   そんだけ!



「がっはぁぁぁぁぁああああっっっっっっ!!!」



 腹部にめり込んだ拳。
 その重さは、ケムスの想像をはるかに超えていた。

 白目をむいて、盛大に吐血する。

 内臓がグチャグチャになる感覚と同時、
 一瞬で奪われる意識。


 そんなヤバい状態のケムスと比較しても、
 さほど違いがないように思えるのが現状のゲンだった。

「ぶっへぇええええええええ!! うげぇえ! うぇええ!!」

 『たったの数秒』だったが、
 我慢の限界に達し、
 盛大に嘔吐しながら、
 白目をむいて、その場にバタリと倒れこんだ。


 両者とも、完全なるブラックアウトを迎え、


 ――世界は少しだけ静かになった。

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