『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

85話 高次の対話。

 85話 高次の対話。

 今まで見えていなかったもの、
 見ようともしなかったものが、
 一気に視界に入ってきて、
 脳の処理がおいつかない。

 けれど、

「……はぁ……」

 心地よかった。

 まるで、頭の中に高速道路が開通したみたい。

 いままで、ケムスの頭は、ずっと渋滞しているみたいだった。
 いつまでたっても前に進めないイライラ。
 神経系統やホルモン系統に乱れが出て、
 心のバランスが取れなくなっていた。

 けど、今は違う。

 解放されたインパルスが、
 ブレーキという概念をシカトする。


「見てくれ……僕は、こんなにも速い」


 真っ白な頭。
 反射を連鎖させる剣。

 剣戟の質が変わった。
 先ほどまでとは比べ物にならない、
 踏み込み足が躍る。

 血流が沸いた。
 神経が爆走。

「いいぞ、ケムス……あんたは開いた!」

「どうやら、そのようだ!」

 二人だけの世界。
 剣戟は、秒を飲み込んで加速していく。

 鋼の火花は、喝采の花火。

 まるで、ファンファーレみたいに、
 二人の剣戟は美しく世界に咲き誇る。

「ケムス、あんたはもっと行ける!」

「ああ、僕はもっと行ける!」

 加速する。
 お互いの視界がモノクロになる。

 余計な色は必要なかった。
 線と点があれば、それだけで、完璧だった。

 剣筋の残像が止まってみえる。
 お互いが、お互いを理解しあう。

 高次の対話。
 命の対話!


 ――その途中で、ゲンは気づく!!


「あれ、ちょっと待って……俺、押されてない?」

「心配するな、ゲン! それは勘違いじゃない! 今の僕には、君が止まって見える!」

「いや、『お前の目にうつる俺』は止まっているかしらんけど、『俺の心配』はとまらねぇよ! あれ、これ、俺、負ける?! ちょちょ、ちょっ! ケムス、落ち着け! いったん、冷静になろう! ここまで開くとは思っていなかった! 想定の範囲外だ! ヤバいって! いや、待って……待って……待ってってぇ!!」

「まだだ……まだ開く……もっと行ける! 道が見える! あれだけ厚かった壁が! 完全に消えた!」

「それはわかったから! ちょっと待って! いや、死ぬって! お前、自分で気づいていないだろうけど、お前の剣、『必殺感』がどんどん増してるんだって! これ、当たったら死ぬって! で、そろそろ、当たりそうなんだって! さばききれないってぇ!」

「心配するな。君ならば、僕の剣ぐらいは乗り越えられる! さあ、共にいこう! もう少し先へ! あの丘の向こうまで! ――あそこから見える景色は、きっと絶景だ!!」

「やばい、やばい、やばい! こいつ、覚醒ハイになってる!! このままだとマジで殺される!!」


 ヤバさを感じ取ったゲンは、
 仕方なく、

 アイテムボックスに手を伸ばし、

「セイバーリッチ・プチ、召喚!」

 『自分より強い相手』が『自分を殺す気』で舞っている。
 この極限的状況下なら、さすがに機能するだろう、
 とおもいきや、

(うんともすんともいわねぇえええええ!! くそがぁあああ! ほんと、ゴミだな、このカードぉお!)

 理解に到ると、
 すぐに、ゲンは頭のスイッチを切り替えて、
 『使える切り札』の方に感情をシフトする。



「――パーフェクト・ラージャン・エグゾギア・プチ、起動!!」



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