『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

84話 エクセレント!

 84話 エクセレント!

 ゲンは、これまでに、99回、ケムスと戦っている。
 ループする世界の中、
 何度も、何度も、ゲンはケムスと戦ってきた。
 ――だから、届いた。

 たった一回では気づけなかったツボミ。

 10回でも、50回でも気づけなかったが、
 しかし、99回も繰り返したから、
 だから、気づけた。

 その『記憶』が、ゲンの中に存在しているわけではない。
 しかし、ゲンも、間違いなく『銀のカギ』の影響下にある。

 『記憶』も『能力引継ぎ』もないが、
 しかし、魂魄の奥には刻まれている。

 決して、ゼロにはなっていない。
 『なかったこと』になったワケではないのだ。

 だから、

「お前の剣は、そろそろ花開く! 必死に積んできた全てが、お前の新たな器になる! お前の剣は閉じちゃいない!!」

「ふざけたクソガキ……どうして、そこまで『僕の目算』を『否定』できる。その根拠はなんだ」

「根拠? ――勘だ!! それ以上でも、それ以下でもない!」

 さらに加速していく。
 ゲンの全部が、ケムスに降りかかる。

 反射だけで対応していたケムスは、

「……か、勘……」

 呆れた顔で、
 一度、そうつぶやいてから、



「は、はははははははっ!」



 大胆な感情をむき出しに、
 大声で笑い、

「ほんとうにふざけたガキだ!!」

 理由なんてないに等しい。
 けれど、ケムスの目には炎がともった。

 ゲンの言葉に触発されたというわけではない。
 そういうわけでは決してない。

 ――ないのだけれど……




「――ケムス・エクセレント――」



 ケムスは、あえて、
 ゲンの剣技をマネた『グリムアーツ』を放った。

 人生で初めて使ったグリムアーツなので、
 当然、熟練度はクソだったが、
 しかし、

「……おいおい、なんか、お前のダセェ技……俺のダセェ技より鋭かった気がするんですけど……」

「いや、さすがに、君のグリムアーツの方が洗練されているさ。だが、そうだな……色々な覚悟を込めたから、グリムアーツとしては、それなりには積まれたらしい……」

 『ケムス・エクセレントという技』を練習してきたわけではないが、
 『剣技の練習』なら、これまでの人生で、ずっと、
 吐血するほど繰り返してきた。

 その全部と、もろもろの覚悟と、
 ほんのちょっとの憧憬を込めて、

 彼女は、『ケムス・エクセレント』というグリムアーツを自分に刻んだ。
 だから、程度の低いモノマネには終わらなかった。

「ここまで無様をさらしてしまうと……感情がマヒしてしまって、恥ずかしくもない。いや、恥ずかしすぎるから、感情がマヒしてしまったのか……ま、どっちでもいい。そういう言葉遊びに用はない」

 そこで、ケムスは、

「すぅ……はぁ……」

 と、一度、深く深呼吸をしてから、


「バカになると、軽くなるな……余計なプライドを捨てて、恥も外聞も捨てて、むき出しになってみると、驚くほど体が軽い……」


 ケムスは、手の中で剣をもてあそびながら、
 自身の剣に対し、

「……さっきは、地面にたたきつけたりして、すまなかった」

 と、謝罪の言葉を述べた。

 体が軽くなると、いろいろなものが見えるようになってきた。
 今まで見えていなかったもの、
 見ようともしなかったものが、
 一気に視界に入ってきて、
 脳の処理がおいつかない。

 けれど、

「……はぁ……」

 心地よかった。


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