『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

32話 この聖なる死に喝采を。

 32話 この聖なる死に喝采を。

 ドサリと、力なく、その場に倒れこんだ『刈り取っちゃう者』。
 ナイアは、

「なんの収穫もない無駄な時間だったな……ったく……」

 ダルそうにそう言ってから、
 リボルバーを、雑に放り投げる。
 カーンと、乾いた音が世界に響く。

「とっとと、ゲンの記憶をいじって、館の探索を続けさせるか」

 アクビ交じりにそう言いつつ、

「……あ、その前に、この空間の扉と、分岐の石板を消しておかないと……」

 などと、諸々の処理方法の順番に悩まされていると、
 そこで、

「……ん?」

 首から上がなくなっている『刈り取っちゃう者』の死体がピクっと動いた。

「……なんだ? 気のせいか?」

 ナイアが不思議そう顔で、『刈り取っちゃう者』の死体を眺めていると、

 ギギギギギィっと、不快な音を響かせながら、
 へたくそな糸人形みたいに、
 『刈り取っちゃう者』の死体が、
 不器用に立ち上がり、
 ブルブルと痙攣しだした。


「……なんだ? こんなイベントは組んでいないぞ……」


 本気で困惑しているナイア。
 すると、そこで、




 ――虚空のイベントスイッチON『聖なる死の喝采を聞け』――




 世界の声が、ナイアの耳に届いた。

「……おいおい、マジかよ」

 一瞬で『理解』に至る。
 『誰』が『何の目的』で『何』をしたのか。

 ――だからこそ、

「はっはっ……『あのボケ』……俺のゲームに介入してきやがった……へっ、わらかしやがる……」

 鼻で笑いながらそうつぶやくナイア。

 直後、『刈り取っちゃう者』の死体に、ビキビキとヒビが入った。
 そして、パリンと弾け飛ぶと同時、
 カッと、強い光を放った。


 ――現れたのは、漆黒の後光を背負ったバケモノ。


 銀の炎が瞬く三つ目。
 暗きオーラに包まれた、闇色スケルトン。
 そんな漆黒のガイコツを覆うのは、気品ある聖銀のローブ。
 右手には光り輝く聖剣、左手には禍々しい巨大な鎌。

 その『全体的に厨二感がハンパじゃない異形』は、
 ナイアに視点を合わせると、厳かに、

[私は『聖なる死神』セイバーリッチ。異形の頂点。この世を究極の邪悪で照らす、漆黒の輝き。貴様に聖なる死を与えるもの。さあ、聖なる絶望を数えろ]

(セイバーリッチの強制召喚とは……くくっ……また面白い小ネタを仕込みやがって……)

 こころの中でつぶやきつつ、
 ナイアは、景気づけに、
 指の関節をバキバキバキっと鳴らしてから、

「わざわざ、これだけ面倒な『上等』をかましてきたんだ……どうせ、ただの『リミテッドバージョン』じゃねぇんだろ? さあ、何がしたい? てめぇの存在理由はなんだ? 見届けてやるから、見せつけてみろ」

 そう言ってから、厳かに、武を構えるナイア。

 魔力やオーラを練ったりはしない。
 遥かなる高みから、『静』の構えで、セイバーリッチの出方をうかがう。

 セイバーリッチは、
 特に何か言葉で意思を表示することもなく、
 ユラユラと、その禍々しいオーラを増幅させて、

[――ダークグロリア・イミテーション――]

 バフ魔法を使用した。
 黒き後光の輝きが増す。

 と、同時に、
 セイバーリッチは、トプンと、空間に溶け込んだ。


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