『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

98話 伝えられない想い。

 98話 伝えられない想い。

(……仮バグを失ってしまった今の私は、出力の点で言えば、以前と大して変わっておらん……主との対話で、戦闘力には明確な革命が起こっているものの、それも、あくまで、私の可能性が開き始めたというだけで、他者の目にも分かるほど劇的な変化とはいいがたい)

 明らかにバンプティは強くなっている。
 間違いなく、武のステージが数段階ほど引き上げられた。
 しかし、それは、器が強固になったというだけであり、
 存在値や戦闘力が数倍にハネ上がったというものではない。

 ゆえに、仮に、その強さをジャミに見せたとしても、

『あれ? なんだか、妙に強くなっているな。なにかコツでもつかんだのかな? それとも、トレーニング方法をかえた?』

 という常識的な反応を引き出して終わりだろう。

 『その理解』に至ってからも、
 バンプティは、いろいろと思案してみたが、
 結局、優良な手段を思いつくには至らず、

(……主と同じ時代を生きた方々は、みな、こんな気持ちを抱えて生きていたのか……なるほど……パメラノ猊下が、時折、無性に寂しげな表情を浮かべる理由はこれか……)

 神を理解した者は、
 大概、同時に、パメラノの気持ちを理解する。

(これは苦しい……これはつらい……主の輝きは、触れたものにしか伝わらぬ。このもどしかしさ……この切なさ……この侘(わび)しさ……だが、しかし、同時に……)

 心の閉塞感を覚えるかたわらで、しかし確かに、頬がほころぶ。

 『みっともない』と理性では理解できているのだが、
 しかし、
 身を震わせる優越感をとめることが出来ない。

(ぬしは知らない……だが、私は知っている。神の光を……主の美しさを……)

 心が沸き立つ。
 『主を知っている』という感情の全てが、
 バンプティの中で、強固な光となっていく。

「バンプティ……どうした? 急に黙り込んで」

「なに……どう伝えたらよいか、悩んでしまってな……」

 そう前を置いてから、
 バンプティは、ジャミの目をジっと見つめ、

「ゼノリカによって統治されているこの世界は素晴らしい。ぬしはそう思わぬか?」

「思わないワケがない。この世界は美しい」

「それが……それこそが、真理の体験」

「なるほど。世界の美しさを改めて認識しなおすことで、主への感謝が沸き上がった、と」

「まあ、そんなところじゃ。世界のために尽力してくれた尊き神を称えるのは当然の話。一部の信者だけではなく、この世に生きる全ての者が、主を称えるべき。それが私の結論じゃ」

「何を信じるかは自由だから、あなたがどんな結論を胸に抱くかに関しては何も言わない。けれど、その自由は、あらゆるベクトルで、かつ、すべての者に許されている権利だということをお忘れなく」

 そう言うと、ジャミは、
 チラっと壁時計に視線を向けて、

「それでは、そろそろ失礼する。聖誕祭の栄典式がそろそろ始まるのでね。カドヒト捕縛の件については、また今度、話を聞かせてほしい」

 聖誕祭では、各地で、様々なイベントが催される。
 その中でも、格式と品位が高いイベントの優勝者には、
 かなりランクの高い勲章が授与される。

 その式典に、『象徴』として参加するのも、
 九華の役目の一つ。



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