センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

83話 俺がその気になれば、どんなバッドエンドも裸足で逃げ出す。

 83話 俺がその気になれば、どんなバッドエンドも裸足で逃げ出す。

『……』

「おい、聞いてんのか? おい、ちょっと? ……あれ、つながっているよな……え、あいつ、切った? ウソだろ……いや、繋がっているなぁ……おい、シューリ?」

 と、シューリの無言に、センが焦り始めたところで、
 シューリは、ギリギリと奥歯をかみしめて、

『……クソがぁ……』

 ブチ切れた声で、そうつぶやいた。

 あまりにも高圧力なその声音を聞いたセンは、
 軽く震えながら、

「な、なんでキレてんだ?」

『……あ? キレてないでちゅよ。オイちゃんをキレさせたら大したもんでちゅよ』

「ぁ、はい……そうですか……」

 古い小ネタに突っ込んでいくべきか、
 少しだけ悩んだものの、
 シューリの言葉の迫力に気圧されて、

「まあ、キレていないのでしたら、それでいいのですが……」

 反射的に、対応が丁寧になってしまう。

 『セン視点』では『奇妙によどんでいる空気(シューリ視点では極めて単純な構図)』。

 それを、いったん払拭しようと、
 センは、そこで、コホンと息を整えて、

「と、とにかく、そういうことだから、あとのことは、マジで頼んだからな」


『――頼む? オイちゃんに? なにを?』


 底冷えする声音だった。
 とても冗談のテンションには聞こえない。

 実際のところ、先の発言は、シューリ視点だと、
 一ミリもボケではない。

 が、セン視点だと、シューリの発言は、
 完全に『クリティカルなボケ』だったため、

「なにを、じゃねぇよ、ふざけんな」

 仕方なく、脊髄反射的に、
 サクっとボケ処理をしてから、
 マジメ寄りのトーンに調整しつつ、

「俺は、色々なことをあきらめて、お前に、ゼノリカを頼むことにしたんだから、この約束だけは、絶対に、なかったことにはさせねぇからな」

 どうにか『流れ』を『ガチ寄り』に調律させようともがくセン。

 ――しかし、
 『例の約束(――『どんな願いでもかなえる』という、シューリが許した『たった一つの譲歩』をゼノリカのために使ったこと)』に付随する『アレコレ(おかげで、相思相愛なのはわかっているのに、関係性が宙ぶらりんのままに留まってしまったこと)』と改めて向き合わされたことで、

 さらにシューリのボルテージが上がってしまい、



『……クソがぁ……』



 声音の圧力に制限がなくなっていく始末。

「だから、なんでキレてんだよ。ここまでにおける俺の発言には、どこにも、一ミリたりとも、キレる要素なんてな――」

『キレてねぇっつってんだろ、殺すぞ、クソガキ!』

「ガンギレじゃねぇか……素を引き出すレベルでお前をキレさせるとは、俺も大したもんだな。どうして、そこまで怒らせてしまったのか、さっぱり理由がわからんから、ちっとも誇れないが」

 セン視点では、ただただ情緒不安定なシューリ。
 そんな彼女に対し、

 センはタメ息を一つはさんでから、
 『ワケわからんけど、とりあえず、言うべきことを言い切っておこう』
 といった感じで、

「とにかく、俺は自殺する。これまでも、何度か『無限転生の殺し方』を探したことがあったが、今日からは、これまでのような『コトのついで』ではなく、『全身全霊』で『無限転生を殺す方法』を探していく。俺がその気になってしまった以上、さしもの無限転生と言えど『お手上げ』だろう。俺を前にすれば、どんなバッドエンドも裸足で逃げ出す」


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