『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

80話 もう……いいよな?

 80話 もう……いいよな?

「……『この日のために生まれてきた』……心の底からそう思える『輝く日々』を積み重ねて、俺は『今日』に辿り着いた。何度目か忘れた誕生日。ハッキリ言える。生まれてきた意味は確かにあった」

 かみしめながら、
 言葉を紡ぎ、

「だから、もう……いいよな?」

 世界に問いかける。
 誰も応えてはくれなかった。

 けれど、寂しくはない。

 いつも通り。
 何も変わらない純粋無垢な孤高。

 誰よりも高い場所で独り、
 命の歌を、神は詠う。
 穢(けが)れを払いつくした『その両手』を見つめながら、
 最果ての丘で、太陽のように笑う。


「シューリがいる。ソンキーがいる。ゼノリカがいる。この世界は、俺がいなくても、問題ない。それが、今日、ハッキリと分かった。――感謝する」

 両の手を、ギュっと握りしめながら、
 すでに消滅してしまった仮バグに向けて、
 感謝の言葉を投げかけてから、

 センは、アイテムを使い、
 シューリに向かって、魂魄の回線をつなぐ。
 ――『伝えなければいけないこと』がある。

 『最後』の責務。
 エンディング・メッセージ。

 己に課す使命は一つ。

 決して、重苦しくならないように。
 さわやかに、誇り高く、
 うたうように、告げようじゃないか。

 と、自分の中で、
 色々と整理をつけつつ、
 魂魄が調和するのを待っていたセン、
 そんな彼の耳に届いた、
 シューリからの最初の言葉は、





『ツー、ツー、おかけになった電話番号は、現在つかわれておりません』





「魂魄を繋げたホットラインで着拒すんなや! いやがらせの質が高すぎるだろ!」

 空気をブチ壊すボケをかまされ、
 センエースの怒号が飛ぶ。

 いろいろ、全部、台無しだった。


『……ちっ。なんでちゅか? オイちゃん、忙しいんでちゅけど』


 心底鬱陶しそうな声を聞かされて、
 センは泣きそうな顔になり、

「第一声も第二声もひどすぎる……」

 メソメソしているセンに、
 シューリは、アクビ交じりに、

『さっさと用件を言ってくだちゃい。三秒以内にいわないと切りまちゅよ』

 イライラ声の催促。

 センは、

「……はぁ……」

 深いタメ息をついてから、

「……今日が何の日か知っているか?」

『今日? ……えーっと……ちょっと待ってくだちゃいね……えっと……確か……アレでちゅよね? うんうん、わかってまちゅよ……ここまで出かかっているんでちゅけど……ほら、あれ……あの……ほら……んー、あー……なんでちたっけ?』

「俺の誕生日だ」

『そうそう、それでちゅ! いやぁ、九割がた出ていたんでちゅけど、最後の最後で、ノドにつっかえちゃいまちたねぇ。いやぁ、はははは。というわけで、さようなら』

「切るな、切るな」

『なんでちゅか? 用件はすでにすみまちたよね?』

「……『今日が何の日かクイズ』で終わるワケないだろ。よしんば、それがメインの目的だったとしても、その先を読み取れよ。クイズの答えが『今日は俺の誕生日でーす』となれば、おのずと、次の展開が読めようものだろうが」

『はっぴ、ばーすでー、でぃあ、つぅうう、ゆぅううううううう……じゃじゃーん。はい、おわり。さようなら』

「その短い歌すら、フル尺ではうたいたくねぇっていう、お前の気持ちは痛いほど伝わってきたが、とりあえず、もう少し、俺に付き合ってくれ」



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