センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

76話 頑固で強欲な神様。

 76話 頑固で強欲な神様。

「その爆発的成長ペースで、あと『200億4999年』と『364日23時間50分』ほど積めば、俺にかすり傷をつけることができるだろう」

 そう言いながら、
 究極超神センエースは、
 バンプティの拳を、
 ペシっとはじいて、
 ガラ空きの腹部に、

「――閃拳――」

 叩き込む。
 おそろしいほど静かに。

 『とてつもなく重たい』のに、
 羽が生えたみたいに身軽な拳だった。

「がはっ……っっ」

 どれだけの言葉で表現しようとしても、
 どこかで必ず『足りない』と思ってしまう、
 そんな、あまりにも遠すぎる高みに位置する無上の拳。

「……と、遠いですね……あなた様は……本当に遠い……」

 すべてを受け止めたバンプティは、
 ボソっと、心からの言葉を並べた。

 魂魄の全てを沸騰させた『10分』を経て、
 だからこそ、余計に、神の遠さを知る。


(これほどの過剰な爆発的成長を、200億年以上、維持しなければ、神の背中には届かない。――それが、神のおわす場所)


 知れば知るほどに遠くなる。
 神は、遠い遠い遠い遠い遠い場所にいる。
 影すら見えない場所。
 しかし、とても、とても、とても大きな光。
 だから、決して、見失うことはない。

 あの光が『目指すべき神』である、
 その理解にさえ達していれば、
 問題は何もない。

「美しい……あなた様の尊さは……間違いなく、命の頂点……」

 そんなバンプティの尊崇(そんすう)に対し、
 センは、遠くを見つめながら、

「積んだだけさ。バカみたいに時間をかけて積んできただけ。友達いねぇし、恋人もいねぇから、自分のために使える時間はたくさんあった。だから、積むことができた。結局のところは、それだけの話さ。コミュ力と人望が死んでいる非モテの童貞。だから、実際のところは、わずかも誇れる要素じゃねぇ。むしろ、最大の汚点ともいえなくはない」

「なぜ、ご自身を悪くおっしゃるのか……あなた様の美しさは……間違いなく、全世界一だというのに」

「心配するな、それは勘違いだ。探せば、俺より美しいやつはたくさんいる。というか、よくみろよ、このみすぼらしさを。考えなしに走り抜けてきたから、あちこち、擦り切れて、ボロボロだ」

「本物である証……抜け道を通ってきたわけでも、近道で楽をしたワケでもない……ただまっすぐに、イバラの道を駆け抜けてきた証拠……あなた様は……かすり傷一つとっても、美しい」

 心底から、心酔して、
 言葉を並べるバンプティ。

 そんなバンプティに対し、
 センは、タメ息をついて、

「本当に……なんで、どいつもこいつも、俺の言葉を見失うんだ……ちゃんと見れば、俺がただの変態でしかないって分かるはずなのに……まったく……」

 心底から呆れかえってから、

 センは、拳に力を込めて、

「……『本当の美しさ』ってのは『人を豊かに出来る力』なんだ……俺はただ膨らんだだけ。それじゃダメなんだよ。俺じゃないんだ、世界にとって必要なのは」

「尊き主よ、あなた様は、ただ膨らんだだけの数字ではない」

「それは誤解だよ。俺はただの膨らんだ数字だ。多くを知った事で、それに気づいた。さっきも言ったけど、俺より美しいやつは、探せばいくらでもいる」

 言ってから、
 バンスールの腹部に、重たい拳を叩き込む。


「うぐっっ!!」


「俺よりも美しい光。……お前は、その一人になれる器。だから、さあ、もっと美しく輝け、バンプティ。俺を超えろ! おかわりだ!! もう一歩、先へ行け!!!」

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