センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
70話 アリのうた。
70話 アリのうた。
「そこらを這ってるアリと変わらねぇクソカスザコの分際で、オレの力を勝手に使いやがって」
「どの口が言っていやがる……俺の魂魄を勝手に使いやがって……」
「お前のようなアリが、このオレに使ってもらえたんだぞ! むしろ、感謝しろ、ボケが!」
「感謝はしているさ。おかげで、飛び方を知った」
そこで、スールはニっと笑う。
その笑みに害意を感じた仮バグは、
ようやく、自分の核に起こった異変に気付く。
「……なんだ、この痺れ……まさか、てめぇ……異次元砲に何か積んだか?」
「火力はシカトして、麻痺に全振りした異次元砲だ。俺は、武の資質がほとんどなかったが、デバフ関連は、それなりにうまく扱えた……」
スールは、かみしめるように、
「積み重ねてきて……本当に良かった……」
そう言ってから、
「最初から翼を持っているっぽいテメェには理解できないだろう。俺は確かに這いずることしかできないアリだが、しかし、どこにでもいる凡庸なアリじゃない。俺は、働きアリの最上位、コンマ数パーセントに位置する、とびきり勤勉な働きアリ。これまで、必死になって、毎日を積み重ねてきた。だから、今も、折れることなく、こうして、テメェと向き合っていられる」
その発言を受けて、
仮バグは、小バカにするように、鼻で笑って、
「なかなか頑固な痺れだ。かなりの魔力を込めているな……まあ、でも、あと10秒もあれば、余裕で処理できるレベル」
麻痺を解除しようとしつつ、
「しょせん、アリはアリだ」
冷静かつ辛辣な言葉でそう言い放つ。
そんな仮バグの言葉を受けて、
スールは、自嘲気味に微笑んでから、
「そうだな。俺もそう思うよ。知っているさ。自分の小ささくらい。けどな……その事実を抱えて、向き合って、その上で、折れることなく、今日まで生きてきた……」
ギっと奥歯をかみしめて、
「その全部が、『主』のおかげだとは、さすがに、今でも思わねぇ。俺が頑張ってきた道は俺のモノだ。けど……今の俺が頑張って前を向いていられるのは、この上なく尊き主が、その輝きで、世界を平定してくれたからだと、今の俺は知っている。だから、うたえる。うまれて初めて、主を称えるために。魂と、心を込めて。命の底から、力の限り」
自分の全部を込めて、
スールはうたう。
「……リラ・リラ・ゼノリカ……」
讃美歌が紡がれると、
「うぐっ!」
仮バグを締め付けている麻痺が、
一段階上昇した。
「て、てめぇにも……狂信が……」
――と、仮バグとスールが闘っている間、
その向こうで、
『バンプティ』の魂は、
もがき、あがき続けていた。
(――実際のところ、私(バンプティ)はすでに限界を迎えている……あの虫ケラの言う通り……このままだと、私は壊れてしまうじゃろう……)
バンプティは、自分を理解している。
何も考えずに無茶をふりかざしているわけじゃない。
もはや、バンプティのコップはヒタヒタになっている。
一円玉を一枚投じるだけでもあふれてしまうほどに、
限界の目一杯まで達している。
(しかし、このままでは、ただの残骸……己の弱さに飲み込まれたままの戦犯で終わってしまう……それは認められん……『ゼノリカを支える剣の一本』である、この私が……そんな無様を晒したまま終わることなど……許されん!)
「そこらを這ってるアリと変わらねぇクソカスザコの分際で、オレの力を勝手に使いやがって」
「どの口が言っていやがる……俺の魂魄を勝手に使いやがって……」
「お前のようなアリが、このオレに使ってもらえたんだぞ! むしろ、感謝しろ、ボケが!」
「感謝はしているさ。おかげで、飛び方を知った」
そこで、スールはニっと笑う。
その笑みに害意を感じた仮バグは、
ようやく、自分の核に起こった異変に気付く。
「……なんだ、この痺れ……まさか、てめぇ……異次元砲に何か積んだか?」
「火力はシカトして、麻痺に全振りした異次元砲だ。俺は、武の資質がほとんどなかったが、デバフ関連は、それなりにうまく扱えた……」
スールは、かみしめるように、
「積み重ねてきて……本当に良かった……」
そう言ってから、
「最初から翼を持っているっぽいテメェには理解できないだろう。俺は確かに這いずることしかできないアリだが、しかし、どこにでもいる凡庸なアリじゃない。俺は、働きアリの最上位、コンマ数パーセントに位置する、とびきり勤勉な働きアリ。これまで、必死になって、毎日を積み重ねてきた。だから、今も、折れることなく、こうして、テメェと向き合っていられる」
その発言を受けて、
仮バグは、小バカにするように、鼻で笑って、
「なかなか頑固な痺れだ。かなりの魔力を込めているな……まあ、でも、あと10秒もあれば、余裕で処理できるレベル」
麻痺を解除しようとしつつ、
「しょせん、アリはアリだ」
冷静かつ辛辣な言葉でそう言い放つ。
そんな仮バグの言葉を受けて、
スールは、自嘲気味に微笑んでから、
「そうだな。俺もそう思うよ。知っているさ。自分の小ささくらい。けどな……その事実を抱えて、向き合って、その上で、折れることなく、今日まで生きてきた……」
ギっと奥歯をかみしめて、
「その全部が、『主』のおかげだとは、さすがに、今でも思わねぇ。俺が頑張ってきた道は俺のモノだ。けど……今の俺が頑張って前を向いていられるのは、この上なく尊き主が、その輝きで、世界を平定してくれたからだと、今の俺は知っている。だから、うたえる。うまれて初めて、主を称えるために。魂と、心を込めて。命の底から、力の限り」
自分の全部を込めて、
スールはうたう。
「……リラ・リラ・ゼノリカ……」
讃美歌が紡がれると、
「うぐっ!」
仮バグを締め付けている麻痺が、
一段階上昇した。
「て、てめぇにも……狂信が……」
――と、仮バグとスールが闘っている間、
その向こうで、
『バンプティ』の魂は、
もがき、あがき続けていた。
(――実際のところ、私(バンプティ)はすでに限界を迎えている……あの虫ケラの言う通り……このままだと、私は壊れてしまうじゃろう……)
バンプティは、自分を理解している。
何も考えずに無茶をふりかざしているわけじゃない。
もはや、バンプティのコップはヒタヒタになっている。
一円玉を一枚投じるだけでもあふれてしまうほどに、
限界の目一杯まで達している。
(しかし、このままでは、ただの残骸……己の弱さに飲み込まれたままの戦犯で終わってしまう……それは認められん……『ゼノリカを支える剣の一本』である、この私が……そんな無様を晒したまま終わることなど……許されん!)
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