『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

65話 熱い血燃やしていけよ。

 65話 熱い血燃やしていけよ。

 『可能性だけ』はなくもない『不器用で豆腐メンタルなクソガキ』に、
 あれこれ試行錯誤しながらモノを教えている教員。

 それが、現状における、
 バンスールとセンエースの関係だった。

(頭が……痛い……)

 フラつく足を、どうにか支えるバンスール。
 支えきれずよろめいて、コケそうになって……

(歯が痛い……関節が痛い……なんか、熱い……首が重い……)

 耳がキーンとした。
 眩暈(めまい)がして、妙な動悸がして、

(無様だ……生きていたくない……穴が欲しい……)

 言葉に出来ない羞恥を抱えて、
 心因性の疼痛(とうつう)にさいなまれる。

 肉体的な損傷は『ほぼゼロ』に近いのに、
 精神と心が背負ったダメージが、あまりに大きすぎて……



「フラつくな! 下を向くな! 俺はここだ!」



 パァンと、頬をシバかれるバンスール。
 乾いた音が世界に響く。

 それは決して攻撃ではなかった。
 誰の目にも明らかな教育的指導。

「さあ、次だ! まだあるだろ? もう一歩、ドカンと強くなれ。先に進め! その先に、今の俺を置き去りにした俺がいる!!」

 『もっと』を叫ぶセンに、
 しかし、バンスールは、

「…………ない……」

「ぁん?!」

「……何度、まわそうが……意味がない……オレごときが何を手に入れても、意味はない……勘違いしたオレが少しだけはしゃいで、そのあとで、お前がガッカリして……それが続くだけ……何度やっても……」

 ヘシ折れてしまったら、
 使いものにならなくなる。

 なんだってそう。
 命は、心と連動しているから、

 心をヘシ折られてしまうと、命はゴミになる。

「それに、オレはもう……限界に……達している……だから、もう……カオスはまわせない……」

 実際のところ、
 すでに、バンスールの器はパンパンになっていた。
 もう一滴も入らないほど、
 表面張力が頑張っている段階。

 ヒッタヒタになったコップをイメージしてもらえれば、
 今のバンスールの現状が理解できるだろう。

「センエース……お前は強すぎる……ありえない……」

 うなだれているバンスールに、
 センは、

「あきらめるなよ」

 ギリっと奥歯を軋ませて、

「いける、いける! まだいける! もっと熱くなれよぉおお! 熱い血燃やしていけよぉおお!!」

 冗談っぽく『模倣の言葉』を使ってはいるものの、
 しかし、その奥には、ガチンコの想いが刻まれていた。

 本気の情動をぶつけられて、
 しかし、バンスールは、

「むりだ……もう、すでに……ピークは過ぎている……力が抜けていく……過剰にムリをした反動が……オレを殺していく……」

 消えそうな声で、
 泣きそうな声で、

「折れてしまったオレを……ウルデバッグ・ギアスが食い殺していく……容赦なく、無慈悲に……」

 へたり込んだバンスールに対し、
 センエースは、鬼の形相で、

「まだ行けるっつってんだろ、ボケが……甘えるのも、いい加減にしやがれ、ブっ殺すぞ、このクソガキが」


「……センエース……」


 そこで、バンスールは、
 消え入りそうな声で、


「お前は……異常だ……」


 声をもらす。
 心からの言葉。

「これだけ強くなったオレを……触れるだけで倒してしまう……お前は……異常だ……お前はもう、完成している……それ以上はない……あってはいけない……」



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